行動を生むのは「正しさ」よりも「暮らしとの接点」

1)消費者の合理性とは~消費者が自分なりに納得して選びたい、価値あるものを無駄にしたくない

同様に、消費者の日常的な消費意識に関するニッセイ基礎研究所のデータ(画像4枚目、図表2)を見ると、「長く使えるものを選ぶ」は2025年でも75.9%と高い水準にあり、「価格と品質のバランスを見る」の68.9%と並んで、28項目中トップ2となった。また、「安くて経済的なものを選ぶ」「定価で買うことに抵抗がある」「不用品を売りたい」は、2023年から2025年にかけて大幅に上昇している。

これらの傾向から読み取れるのは、消費者が自分なりに納得して選びたい、価値あるものを無駄にしたくない、という合理的な消費志向を強めているということである。

この点は、日本と米国の消費者を比較した研究とも重なる。ある研究によれば、日本における環境配慮行動やシェアリングサービスの利用は、環境価値観そのものよりも、便利であること、お得であること、合理的であること、生活満足につながることによって説明されやすいことが示されている。

2)食ロス対策が生むウェルビーイング価値とは

ただし、こうした研究を踏まえると、Too Good To Goが提供している価値は、単に「安く買える」という経済的メリットだけでは十分でない様に思われる。

たとえば、「まだ食べられるものを無駄にしなかった」という感覚は、単なる節約以上の意味を持つ。消費者は、自分が合理的で納得できる選択をしたと感じることができる。

普段利用したことのない店舗の商品に出会うことは、新たな発見や地域との接点にもつながる。

さらに、「結果として食品ロス削減に貢献した」という実感は、自分の行動が社会に対して少しでも良い影響を与えたという自己効力感(自分にはできる、という感覚)を高める側面も少なからずある様に思われる。