(ブルームバーグ):韓国株式市場の混乱は、歴史的な売りでレバレッジをかけたポジションの整理が進み、規制強化によって一部の高リスク商品トレーディングが急減したことから、最も激しい局面を脱した可能性がある。
韓国株のボラティリティー指数は先週、2カ月ぶりの低水準となった。6月に過去最高を更新していた。強制的なポジション解消で信用取引の未決済残高が減少したほか、レバレッジ上場投資信託(ETF)への規制強化により、半導体メモリー大手のサムスン電子とSKハイニックスに連動する商品の取引高と資産残高も減少し、市場は安定化に向かった。
こうした動きは、韓国株の異例の値動きを増幅させていたレバレッジ主導の過熱の一部が解消されたことを示唆する。モルガン・スタンレーは、レバレッジ解消のプロセスが半分以上進んだと推計している。韓国総合株価指数(KOSPI)は6月の高値から一時40%近く下落した。
一方、海外投資家は今年に入り1000億ドル(約15兆7800億円)超の韓国株を売り越しており、新興国市場ファンドは韓国株を「アンダーウエート」としている。

それでも、海外の資産運用会社が韓国株に急いで資金を戻しているわけではない。ボラティリティーは低下してもなお高水準にあり、投資家は歴史的に割安なバリュエーションと堅調な業績見通しを、今後も相場が大きく振れるリスクと比較している。
シンガポールで「アバディーン・アジアン・インカム・ファンド」を運用するシニア投資ディレクターのアイザック・トン氏は、「前向きになりつつあるが、ボラティリティーがなお高いため、まだ完全に安心できる状況ではない」と述べ、「期待できる潜在的なリターンがボラティリティーに見合うほど高ければ、より前向きになれる。その水準に近づきつつある」との見方を示した。
主役交代の兆し
KOSPIの値動きが激しさを増したことで、ボラティリティー指数は2025年末の28.9から、今年6月には過去最高の96.9まで上昇した。
相場が8%下落すると発動される取引所の20分間の売買停止措置は先月、過去最多の4回発動された。KOSPIが5%以上上昇または下落した日は、取引日のほぼ半数に上った。1日の値動きとして最大だったのは、7月31日の過去最大となる18%上昇だった。
当局は相場の乱高下を受けて幾つかの措置を講じ、レバレッジ商品への需要を抑えるため追加策を打ち出す方針も示した。個別株に連動するレバレッジETFについて、より高い現金預託を求める規制が7月31日に始まり、サムスン電子とSKハイニックスに連動するファンドの取引高と資産残高が減少した。

株価急落と規制強化により、相場上昇に引き寄せられていた個人投資家の多くが市場から振り落とされた。
韓国金融投資協会のデータによると、個人投資家の口座では6月に約1兆ウォン(約1100億円)、7月にさらに9930億ウォンの強制決済が発生し、今年に入って最も多い2カ月となった。株式購入の資金に充てる信用取引融資の残高は8月4日時点で27兆4000億ウォンに減少し、今年最低となった。
アルケビウム・キャピタルのマクサンス・ヴィソー最高投資責任者(CIO、ドバイ在勤)は、「国内の個人投資家から海外の機関投資家への主役交代が始まったように見える」と分析した上で、「数日間、相場が落ち着いただけでは不十分だ。海外のポートフォリオマネジャーは、市場の価格発見機能が再び正常に働いていることを示す証拠を必要としている」と語った。
売り越し続く
韓国株は急落を受け、一部の指標では割安感が出ている。KOSPIの予想株価収益率(PER、12カ月先利益)は5.1倍と過去最低の水準で取引されているが、それでもファンドマネジャーが急いで資金を戻すほどの誘因にはなっていない。

テンプルトン・グローバル・インベストメンツのファンドマネジャー、イーピン・リャオ氏(シンガポール在勤)は「サムスンとハイニックスが現在割安だという根拠は明確で、利益見通しも依然として強い。ただ、これまで見られた極端なボラティリティーによって、目先は投資家がより慎重になっている」と指摘。
その上で、「これほど大きなボラティリティーが見られたため、非常に積極的に買い戻す動きにはなっていない。むしろ少しずつ資金を戻している状況だ」と述べた。
グローバルファンドは韓国株から資金を引き揚げるペースを鈍らせているものの、引き続き売り越している。証券取引所のデータによれば、外国人投資家は6月に過去最高の300億ドルを売り越した後、7月にも62億ドル、8月に入ってからこれまでに43億ドルを売り越した。
それでも、市場参加者の少なくとも一部は強気だ。ゴールドマン・サックス・グループは先週、KOSPIの12カ月後目標を1万2000とする見通しを改めて示した。これは7日の終値から約90%の上昇余地を意味する。
ゴールドマンのアジア太平洋地域担当株式チーフストラテジスト、ティモシー・モー氏はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、ボラティリティーさえ低下すれば「基礎的なファンダメンタルズが再び相場を左右するようになるというのがわれわれの見方であり、そのファンダメンタルズは非常に魅力的だと考えている」と説明した。
一方、マシューズ・インターナショナル・キャピタル・マネジメントのショーン・テイラーCIO兼ポートフォリオマネジャーは様子見を続けている。「ファンダメンタルズは非常に健全だとみており、最近の決算もそれを示している。ただ、市場のレバレッジとポジショニングがやや過熱し過ぎたため、現在は様子見だ」と明らかにし、「あと1カ月ほど様子を見るかもしれない」と話した。
原題:Korea Volatility Spike Ebbs as Leveraged Trades Are Flushed Out(抜粋)
--取材協力:Abhishek Vishnoi.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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