(ブルームバーグ):この夏、米国で思わぬ人気商品となっているのが、コーヒーチェーンのダンキンで10ドル(約1600円)が使えるギフトカードだ。背景には、JPモルガン・チェースやバンク・オブ・アメリカ(BofA)、キャピタルワン・ファイナンシャルなどが支援するデジタル決済サービス「Paze」の大型販促キャンペーンがある。
アップルの決済サービス「Apple Pay」や、ペイパルに対抗するPazeは6月、対象加盟店で10ドル以上を決済すると10ドルを還元するキャンペーンを開始した。クレジットカード利用者の間では「無料でお金がもらえる」として攻略法探しが過熱している。
利用者は支出を抑えながら還元を最大化するため、10ドル価格ギリギリの商品やギフトカードを繰り返し購入。SNSでは情報交換が活発化し、9月10日のキャンペーン終了までに還元枠を使い切るためのノウハウが共有されている。
「4年ほど前からクレジットカードの裏技を実践してきたが、このようなキャンペーンは見たことがない」と語るのは48歳の専業主婦、クリスティー・カミンスキーさんだ。「要するに、ただでお金がもらえることだ」と話した。「Paze craze(Paze熱)」現象に巻き込まれた人はカミンスキーさん以外にも大勢いる。
銀行が独自のデジタルウォレットを開発すれば、Apple PayやPayPalなどを利用した決済の際のように、クレジットカード手数料(2%~3%)の一部をそれらの事業者に支払う必要はなくなる。
「銀行は顧客との関係を維持でき、銀行としての存在感を保ち、フィンテックアプリに銀行としての役割を一部奪われるリスクを低減できる」と、みずほ証券の上級決済アナリスト、ダン・ドレブ氏は述べた。

Pazeを開発したアーリー・ウォーニング社の広報担当者、リチャード・ペッシェ氏は「Pazeデジタルウォレットの認知度向上と利用拡大を目指した継続的な投資の一環」として、クレジットカード1枚当たり100ドルを上限とするキャンペーンコストを負担していると説明した。
6月15日から7月13日までに新たに登録されたPazeデジタルウォレットは、その前の4週間平均と比べて97%増加した。同氏は「ダンキンやドミノ・ピザ、ウェンディーズでは活発に利用されており、消費者が日常の支出にPazeを取り入れていることがうかがえる」と述べた。
カミンスキーさんをはじめ、プロモーション終了後もユーザーがPazeを使い続けるかどうかは不明だ。ウォルマートやアマゾン・ドット・コムなど一部の大手小売り会社では、Pazeを使えない。百貨店のメーシーズがPaze決済受け入れを発表した際、インターネットのPazeコミュニティーは歓迎の投稿で沸いた。

実際、マニアの中には「Paze疲れ」ともいえる現象も見られる。
約10万人が参加し、クレジットカードの特典情報を共有するFacebookグループの管理者は「ここはPazeのサポートグループではありません。還元時期やダンキンのギフトカードに関する投稿を毎日10件ほど削除しています」と投稿し、利用者に自制を呼びかけた。
原題:Dunkin’ $10 Gift Cards Are This Summer’s Hottest Free Money Hack(抜粋)
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