消費者は社会課題に無関心である、という誤解~参加しやすい入口をどう作るか
Too Good To Goの特徴は、食品ロス削減という社会課題を「おいしい選択」という日常的な体験へ翻訳している点にある。
では、なぜそのような翻訳が必要なのだろうか。
その理由を考えるために、まず消費者の意識と行動の関係を見てみたい。
一般に、サステナビリティ施策が広がらない理由として、「消費者の関心が低いからではないか」と語られることがある。しかし、実際のデータ(画像2枚目、図表1)を見ると、必ずしもそう単純ではない。

まず注目したいのは、「環境や社会問題に配慮した商品を選ぶ意識がある」という回答が約2割で推移している点である。
ただし、「価格が多少高くても環境配慮商品を買う」は2025年で5.8%、「環境問題に取り組む企業の商品を選ぶ」は3.9%にとどまる。食品ロスに比較的近い行動と考えられる「レストランなどで余った食事を持ち帰る」も11.6%であり、先の約2割を下回っている。
つまり、この傾向は社会課題への理解や共感はあっても、それだけで行動が生まれるわけではないということも示唆している。関連する研究でも、サステナブル行動を促すためには、「正しいこと」を伝えるだけでは不十分だと指摘されており、人が行動するためには、社会的影響、習慣化、自分との関係性、感情的な納得感、そして具体的な行動イメージが必要になるという。
実際、Too Good To Goのユーザーが最初に目にするのは、食品ロス削減そのもののメッセージではなく「お得に買える」ことである。そして「何が入っているかわからない楽しさ」「近所の店を新しく発見できる」という価値体験を経て、社会のサステナビリティに繋がる食品ロス削減はその先にある。
これは、従来のように社会課題への共感を直接行動に変えようとする構図というよりも、まず消費者が参加しやすい入口をつくり、その結果として社会的価値にもつながる体験を設計している点に特徴がある。つまり、社会課題が「自分にとって意味のある選択」として体験できる形になっているとも言えるだろう。
社会に良い取り組みが、消費者にとっても無理なく、納得でき、少しうれしい選択になっているとき、参加の入口は大きく広がっていく。
