消費税引き下げの可能性が高まる中、財源の議論に注目が集まる

毎日新聞は6月2日の朝刊一面で、「消費減税、来年4月から開始へ 税率は1%軸 政府が調整」と報じた。「飲食料品を対象にした2年間限定の消費減税について、政府・与党は1日、2027年4月から適用する方向で調整に入った」という。税率については「減税後の税率はレジのシステム改修期間を考慮して、消費税率を1%とする案が有力だ。もしも改修期間が短くなるようなら、0%とすることも検討する」という。各種世論調査でも1%への減税を望む声が多かったことから、このような方向になっているのだろう。

筆者は、給付付き税額控除を簡易的に前倒しすることで、消費税率の引き下げは実施されないと予想してきたが、この予想は外れる可能性が高まっている。

文藝春秋は5月8日に「与野党の消費税減税に対する熱は急速に冷めつつある。財界、小売業界にも減税に賛同する声は少ない」という一方で、「衆院解散に際し、食料品の消費税ゼロを『悲願』とまで言い切った高市は引くに引けない。消費税減税を見送って給付付き税額控除でごまかそうとする財務省の動きに『激怒している』(官邸筋)」と報じていた(赤坂太郎氏のコラム)。仮に消費税率引き下げが実現すれば、高市氏が譲らなかったということだろう。このところ、高市政権は金利上昇にも懸念を示している様子だが、市場への配慮よりも減税が優先された模様である。

財源については、日経新聞が「年4兆〜5兆円規模の財源を巡り、新規の国債発行を前年度から増やさずに対応する案が浮上した」と報じた。「政府高官は26年秋は大型の経済対策を伴う補正予算は組まない見通しを示す」「補正で予算を上積みせず、税収の上振れ分なども加味した財政の『余力』が消費税の減税分以上にあるならば、財源の捻出は可能だとの見立てだ」という。

確かに、25年度補正予算で約17.7兆円の経済対策関係費を計上していたことを考慮すれば、26年度補正予算を最小限にできれば、年4兆〜5兆円規模の消費減税を実施したとしても、「例年」よりは財政健全化を実現したというイメージにはなる。とはいえ、過去の経済対策(補正予算)が過剰だったという前提に立てば、「例年」と比べてベターなので問題ないとは言い切れない。2年間の時限措置の実現度合いも含めて、減税のスキームの詳細を待つ必要がある。

(※情報提供、記事執筆:大和証券 チーフエコノミスト 末廣徹)