日銀のターミナルレートは1.5%を予測。ただし、中東次第では2%超えも

「金利のない時代」から「金利がある時代」へと変化するなか、足元はイランにおける軍事衝突が景気と金融市場に影を落としている。そこで以下では、日本の景気と物価動向について概観したうえで、中東情勢が与える影響について考えてみたい。

まず、日本の景気は、原油高の影響により、当面回復ペースが鈍化する見通しである。そのシナリオの前提は、中東危機が夏ころまでに収束し、原油価格は100ドル前後で推移した後、緩やかに低下するというものである。米国ではこの戦争への反発の声が大きく、政府・共和党としては長引くと中間選挙に悪影響を与えてしまうこと、イラン側でもインフレ等で国内経済が混乱しており、長期の戦争を遂行する体力がないことから、両者とも早期に戦争を終結したいインセンティブがあるとみており、紛争状態の比較的早期の終結をメインシナリオとしている。

各部門の動向をみると、企業部門が景気の重石になる公算が大きい。省人化・DX化などに向けた投資意欲は根強いものの、原油高がアジアを中心に各国景気を下押しすることで財輸出が弱含む見込みである。一部企業では原材料不足により生産調整を余儀なくされる可能性も否定できない。

一方で、家計部門は底堅さを維持すると予想している。政府がエネルギー補助金などで、原油高による物価上昇圧力をある程度緩和すると想定している。賃上げも続くなか、実質所得の底割れは回避される公算が大きい。

金融政策の先行きを展望すると、日銀は、中東危機が実体経済や金融資本市場に与える影響を注視しつつ、段階的な利上げを続ける公算が大きい。2027年前半にかけて政策金利を1.5%まで引き上げた後、そこで打ち止めとなるとみられる。長期金利は、日銀の利上げ観測や財政支出の拡大観測などを背景に、緩やかな上昇傾向をたどる見通しである。このシナリオの下では株価も堅調に推移するほか、円相場も横ばい圏で推移するとみている。

もっとも、中東情勢の緊迫化が長引いた場合、景気悪化への配慮を理由に日銀は政策金利を据え置く可能性がある。その場合、円安のさらなる進行や長期金利の急上昇が発生する恐れがある。そして、日銀は短期的に金利を据え置いたとしても、最終的には政策金利を大幅に引き上げざるを得ない状況に追い込まれる可能性がある。いわゆるビハインド・ザ・カーブに陥ると、結果として日銀の利上げ幅は大きくなるとみられ、政策金利は2%を超えていくことも懸念される。