日本政府と民間企業が進める国産AI基盤開発プロジェクトは、エヌビディアの画像処理半導体(GPU)「ルービン」を2万7500個超を搭載する次世代AIサーバーを導入する計画だ。計算資源を確保し、国産AI基盤の開発に弾みを付ける。

プロジェクトを主導する新会社ノエトラは、大型のデータセンターを建設する。調達したGPUなどを活用し、ロボットや産業用機械の自律制御するフィジカルAIの開発を進める考えだ。データセンターは2027年4月にも構築を始め、28年6月から稼働する。

同社は、ソフトバンク、ソニーグループ、NEC、ホンダなどを中核に設立され、このほど東京エレクトロンや三菱UFJ銀行などさまざまな企業や団体も加わり、合計44社が出資する。政府は後押しのため26年度予算で3873億円を計上している。26年度から30年度にかけて段階的に開発したAIの公開を進める考えだ。

海外のAIモデルへの依存を抑え、産業競争力の向上や経済安全保障の強化を目指す政府の取り組みの1つ。日本政府は40年までにAIロボットで米中に並ぶ第3極として世界シェア3割超、20兆円の市場獲得を掲げており、官民による投資が実現のカギを握る。

エヌビディアのジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)はフィジカルAI商機を見いだしており、ノエトラ以外でも各社と連携を進めている。16日にはトヨタ自動車や、富士通やファナックの連合、三菱重工業などとの協業を相次ぎ発表した。

エヌビディアのフアンCEOが来日し、「今週はジャパンAIの幕開けの週になる」と語り、16日には同社と日本の大手企業とのAI関連の協業が相次ぎ明らかになった(動画)

世界最大級の産業用ロボットメーカーを抱える日本は、米国や中国のAIシステムに代わる選択肢を構築できる可能性があると、ノエトラの丹波廣寅社長はみている。同氏はソフトバンクグループ傘下のSB Instituionsで大規模言語モデル(LLM)「Sarashina」の開発を率いてきた。

丹波社長はインタビューで、「今の時点では第3極は存在していない」と指摘。同社は各社に分散しているAIへの取り組みを結集するために設立されており、「選択肢になる1つを作るのが当社だと思っている」と語った。

ノエトラは来年3月までにAIモデルを公開し、その後も定期的に更新していく計画だ。丹羽社長によると、初版はLLMになる見込みで、数年以内に実際にロボット向けに最適化したモデルの投入を目指す。

同社には、ソフトバンクのほか、「PLaMo」を開発してきたプリファードネットワークス、「cotomi」のNEC、富士通など、独自のAIモデル開発を進めてきた企業から経験豊富なAIエンジニアが集結する。これらの企業に加え、日立製作所や川崎重工業などの製造業、メガバンクや大手生命保険会社など計44社が参画する。

高度なロボット制御を可能にするAIモデルの開発競争は、世界的に激しさを増している。一方、日本にとっては、人口減少と深刻な人手不足への対応という観点からも、この分野の競争力強化が重要な課題となっている。

フアン氏は15日、記者団に対し、「日本には優れたアイデアが非常に多いが、働き手が足りない」と述べた。その上で、「自動化、AI、ロボティクスによって、経済は再び活況を取り戻せる」と語った。

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--取材協力:伊藤小巻、長谷部結衣.

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