イーロン・マスク氏率いるスペースXの株価は15日、上場以来の最安値に下落した。一時は新規株式公開(IPO)価格を割り込む場面もみられた。ロケットや人工衛星、AI事業への期待を背景に集まった投資家の熱狂は、取引開始からわずか1カ月で急速にしぼんだ。

終値は前日比0.6%安の135.27ドル。日中には先月実施された過去最大規模のIPOで投資家が支払った公開価格135ドルを下回ったが、終値ではかろうじて同水準を上回った。株価の下落は4営業日連続となった。

上場から数日から数週間でのIPO価格割れは、企業や主幹事証券が期待感を高めるため周到に演出してきたシナリオを崩すことになる。上場初期の段階で株主が含み損を抱えることは投資家心理を損ね、新規上場企業の中にはそこから立ち直れない企業もある。

スペースX株は、新規上場銘柄に典型的な値動きの荒さを示してきた。上場後最初の3営業日で約50%上昇したものの、その後の3営業日で約25%下落した。

SLCマネジメントのマネジングディレクター、デック・マラーキー氏は「投資家はスペースXの多くがxAIへの取り組みに関わるものだという認識を強めている」と指摘。その上で、「市場では大規模な投資拡大に伴うコストや効果への慎重な見方が強まっており、スペースXの計画は目先のキャッシュフローから離れ過ぎているように映る可能性がある」と述べた。

株価にはなお下押し圧力がかかる可能性がある。初期投資家による売却を制限してきた複数のロックアップ期間のうち、最初の期間は四半期決算の発表後に解除される予定だ。決算は数週間以内に公表される見通し。ロックアップ解除後に初期投資家が売りに動けば、株価は一段安となる恐れがある。

株価の当初の上昇には、指数連動型ファンドによる機械的な買いも寄与した可能性がある。スペースX株はIPOからわずか2週間後の6月下旬にラッセル1000指数に採用され、7月に入るとナスダック100指数にも採用された。ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)のアナリスト、ロブ・デュボフ氏は、両指数への採用に伴い、指数連動型ファンドから少なくとも54億ドル(約8800億円)の買い需要が生じると試算していた。

株価は下落しているものの、ウォール街では依然として強気の見方が大勢を占めている。IPOの引き受けに関与した証券会社のアナリストに課される慣例的なクワイエット・ピリオド(調査リポートの公表禁止期間)が終了すると、各社が相次いで強気の投資判断を示した。レイモンド・ジェームズは最も強気で、「強い買い」の投資判断でカバレッジを開始。目標株価をウォール街で最高となる800ドルとし、IPO価格を約500%上回る水準に設定した。

ブルームバーグの集計では、アナリストの8割超が同社株を「買い」相当と評価している。平均目標株価は約238ドルと、足元の株価を約76%上回る水準だ。

原題:SpaceX Shares Briefly Slip Below IPO Price for First Time (2)(抜粋)

(株価終値で更新し、市場関係者のコメントを追加します)

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