パワーカップル世帯の動向~10年で2倍、49万世帯に到達、うち3分の2はパワーファミリー
1|共働き夫婦の年収分布~妻が高収入であるほど夫も高収入、ただし扶養控除枠を意識して働く妻も
次に、パワーカップルを含む共働き世帯の状況を確認する。総務省「令和7年労働力調査」によると、夫婦共に就業者の世帯(以下、共働き世帯)は1,722万世帯であり、総世帯(5,483万世帯)の31.4%を占める。
この共働き世帯について、妻の年収階級別に夫の年収階級の分布を見ると、妻の年収が高いほど、夫の年収も高い傾向がある。
パワーカップルの妻に該当する年収700万円以上では、夫も年収700万円以上の割合は約7割にのぼる。
なお、妻の年収が1,000~1,500万円未満の世帯において、夫の「収入なし」の割合の高さが目立つようだが(1万世帯)、当該層の世帯数は限られており(12万世帯)、統計の公表値の集計単位が1万世帯であるため、収入階級ごとの世帯数の統計処理の影響が出やすいことを考慮する必要がある。
一方、年収200万円未満を除くと、妻の年収が低いほど夫も相対的に年収が低い傾向がある。以前から指摘されていることだが、統計からも世帯間の経済格差の存在がうかがえる。
ただし、妻の年収300万円未満(収入無しを除く)では、妻の年収が低いほど夫の年収が500万円以上の割合がやや高まる傾向がある。
夫の年収500万円以上の割合は、妻の年収200万円~300万円未満では43.3%だが、100万円~200万円未満では46.6%、100万円未満では49.2%へとやや上昇する。
この背景としては、夫が一定程度の年収を得ているため、妻自身の収入を増やすよりも家庭を重視した働き方を選択したり、夫の扶養控除枠を意識して働く妻が多いことなどが挙げられる。

2|パワーカップル世帯数の推移~10年で2倍、49万世帯に到達、うち3分の2はパワーファミリー
次に、夫婦共に年収700万円以上のパワーカップル世帯に注目する。パワーカップル世帯は近年、増加傾向にあり、過去10年で約2倍に増え、2025年では49万世帯に達する。なお、共働き世帯に占める割合は2.8%である。
冒頭で触れた通り、パワーカップルは世帯数としては僅かではあるが、消費のけん引役として注目されている。
また、企業が商品・サービスの提供を考える場合、夫婦それぞれの年収だけではなく、世帯年収に広げて見ても、高消費層として位置付けることができるだろう。
参考までに、パワーカップルに近しい世帯として、夫婦の合計年収が1,500万円前後・以上を見ると、74~230万世帯で、総世帯の1.35~4.19%、共働き世帯の4.30~13.36%を占める。100万世帯を超えてくると、消費市場として一定の魅力があると考えられる。
加えて、夫婦の合計年収が2千万円以上の世帯は20万世帯で、総世帯の0.36%、共働き世帯の1.16%を占める。
先に見た通り、年間所得2千万円以上の世帯は67万世帯であるため、このうち共働き世帯は約3割を占めると見られる。
視点を夫婦共に年収700万円以上のパワーカップル世帯数の推移に戻すと、労働市場が深刻な影響を受けたコロナ禍を経ても、おおむね増加傾向が続いている。
過去の分析において、コロナ禍では、非正規雇用者より正規雇用者の方が、正規雇用者の中では管理職等の高収入層ほど悪影響を受けにくい傾向があり、パワーカップルはコロナ禍など社会変化の悪影響を受けにくい層が多いと見られる。
また、パワーカップル世帯の内訳を見ると、以前から「夫婦と子」から成る核家族世帯が過半数を占めて最も多いが、その割合は上昇傾向にあり、2025年では63.8%を占める。
次いで「夫婦のみ」世帯(31.9%)が多い。
なお、「夫婦と子」と「夫婦と子と親」世帯をあわせた子どものいる世帯(パワーファミリー)はパワーカップル世帯の65.9%にのぼる。
つまり、高収入の共働き夫婦と言うと、DINKS(Double Income No Kids)との印象も強いかもしれないが、実際にはDEWKS(Double Employed With Kids)の方が多く、パワーカップル全体の約3分の2を占めている。

3|夫の収入別に見た妻の就労状況~年収1,500万円以上の夫でも63.8%の妻は就業
日本では昔から、夫の収入が高いほど妻の労働力率が下がる傾向が見られてきた(「ダグラス・有沢の法則」)。
あらためて夫の年収階級別に妻の労働力率を見ると、2025年でも、夫の年収が400万円以上では妻の労働力率は低下する傾向がある。

とはいえ、夫の年収によらず、全体的に妻の労働力率は上昇しており、年収1,500万円以上の高収入の夫でも、妻の63.8%は就業しており、10年前と比べて1割超上昇している(2015年52.4%に対して+11.4%pt)。
出産・子育て期における就業継続の環境が整備され、若い世代ほど共働きが増える中で、夫が高収入であれば専業主婦という、これまでの価値観は弱まっていると見られる。
なお、夫の年収によらず、フルタイムで働く妻も増えており、年収1,500万円以上の夫では、2015年から2025年にかけて、週35時間以上就業する妻の割合は14.3%から18.8%(+4.5%pt)へ、世帯数は6万世帯から13万世帯(+7万世帯)へと約2倍に増えている。
また、夫の年収が700万円以上の世帯に広げて見ても、妻の労働力率は18.6%から25.6%(+7.0%pt)へ、世帯数は87万世帯から164万世帯(+77万世帯)へと約2倍に増えており、このうち約3割がパワーカップルと見られる。