日銀金融政策(2月)

(日銀)現状維持(開催なし)

2月はもともと金融政策決定会合(MPM)が予定されていない月であったため会合は開催されず、金融政策は現状維持となった。次回会合は、今月18~19日に開催される予定となっている。

なお、2月から3月初旬にかけては、日銀政策委員からの情報発信が続いた。

まず、2月6日には増審議委員が愛媛県金融経済懇談会で講演を行った。

増氏は、「関税問題は、ほぼ悪い影響を与えないまま通り過ぎつつある」との認識を示し、「米国の関税政策以降、世界中で同じ景気悪化への懸念を抱きながら、利上げと利下げという逆の方向での金融政策を取らなければならない状況からの脱却に向けて、さらなる利上げを進めていくことが、金融正常化の完成には求められている」と述べた。

また、「もはやデフレ的な慣行は解消されつつあり、インフレに入ってきていることは確か」、「ここから大切なことは、適時・適切な利上げによって基調的な物価上昇率が2%を超えないように抑えること」と利上げに前向きな姿勢を示した。

同時に、「過度な利上げによって、ようやく回り始めた物価と賃金の緩やかな上昇という循環を壊さないことも必要で、慎重に取り進めて行くことになる」と利上げを慎重に進める必要性にも言及した。

また、講演後の記者会見では、「この今の不動産価格が、実質金利がマイナスであるっていうことから起きているということは、どうしても認めざるを得ない」、「マイナスの実質金利が一番影響が出てくるとこは不動産かな、というのは私も常々思っているところ」と、緩和的な金融環境の弊害として不動産価格を指摘した。

また、2月26日には日銀内で最もタカ派的と目され、1月MPMで昨年12月に続く利上げを主張した高田審議委員が講演を行った。

高田氏は、「私としては、既に物価安定の目標実現が概ね達成した局面と捉えている」、「2026年は海外経済の大きな転換から物価の上振れをより重視した議論が必要」、「金融政策運営については、今こそ「真の夜明け」が視野に入ったとの基本的認識を持ったうえで、段階的にギアシフトを行っていく途上にある」などと、強いタカ派色をうかがわせた。

一方で、国債買入れの減額については、「市場機能を円滑に保つ観点からも、そのプロセスは慎重、かつ時間をかけた対応も必要」、「過度なボラティリティを回避すべく市場の安定に努める必要もある」など、慎重な対応を志向する姿勢が目立った。

そして、続く3月2日には氷見野副総裁が講演を行った。

副総裁は物価の基調について、「達観すれば既に概ね2%近傍であるとしても、2%に確実に達しているとまではまだ言えない」、「利上げによる影響はこれまでのところ限定的であり、金融環境は依然緩和的な領域にあるのではないか」との認識を示した。

記者会見では、直前に発生した米・イスラエルとイランの武力衝突による影響について問われ、「今後の展開については見極めがたいものがまだたくさんあるので、特定の展開を前提としてどういうふうに働くといったお答えをすることは差し控えたい」と具体的な言及は控えたうえで、「市場変動が大きいときには必ず政策変更をしない、ということとは限らない」と付け加えた。

イラン情勢緊迫化に伴う利上げ観測の後退に釘を刺す意図があったものとみられる。

今後の金融政策に関しては、「今後物価の基調が2%で安定していく過程の中で、中立(金利)に近づけていくということになる」と利上げ継続方針を改めて示したが、全体的に直前の2人の審議員と比べてタカ派色は目立たなかった。