米自動車市場では通常、ディーラーの店舗を出た瞬間から車の価値は下がる。しかし、トヨタ自動車のスポーツタイプ多目的車(SUV)「RAV4」のハイブリッド車(HV)は例外だ。

RAV4ハイブリッドの比較的新しい中古車は、走行距離が数千キロメートルに達していても、新車のメーカー希望小売価格を上回る価格で売りに出されることが少なくない。2026年モデルの新車より高値で取引されるケースもある。

この価格の逆転現象は、中古車市場の常識に反しているように映る。しかし、その背景には、今年の米自動車市場を左右する要因がある。

イラン戦争を受けてガソリン価格は急騰し、レギュラーガソリンの全米平均価格は1ガロン当たり4ドルを大きく上回った。そのため一部の消費者は、新車時より大幅に値下がりした中古の電気自動車(EV)を買い求めている。

一方で、EVへの全面移行を望まない、あるいは移行が難しい消費者はHVを選んでおり、米国で長らくニッチな存在だったHVの需要が足元で急速に高まっている。ただ、少なくとも現時点では、新車のRAV4ハイブリッドは供給が追いついていない。

トヨタは昨年、RAV4の5代目モデルの生産を終了し、6代目モデルへ移行する過程で生産が一時的に低迷した。新車のRAV4が販売店に十分行き渡らないため、多くの購入希望者が納車待ちの状態となっている。その結果、年式が新しく状態の良い中古車には高値が付き、新車価格を上回る例も出ている。

RAV4ハイブリッドの燃費は1ガロン当たり40マイル(約64キロメートル)超と、新車の全米平均である27.2マイルを大きく上回る。人気の高まりを受け、トヨタは2026年モデルからRAV4をHV専用車種とした。

ジョージア州に住むIT技術者のブランドン・ウィンゲート氏は2月、走行距離4万4000マイル(約7万1000キロメートル)の2024年型RAV4ハイブリッドを3万2000ドル(約510万円)で購入した。「購入後、同じ車種の価格は6000-8000ドル上昇しており、あの時に買っておいて良かった」と振り返った。

実際、中古車販売大手カーマックスは最近、走行距離2万9000マイルの2024年型RAV4ハイブリッドを4万6998ドルで販売していた。新車時のメーカー希望小売価格3万8735ドルを上回る水準だ。

24年型RAV4ハイブリッドを購入したブランドン・ウィンゲート氏

高値の要因となっている供給不足は、トヨタの増産に伴い解消に向かう見通しだ。北米の商品企画・戦略責任者であるクーパー・エリクセン氏はインタビューで、「品質を確保しながら段階的に増産している」と語った。

ただ現時点では、米国の販売店にある新車のRAV4ハイブリッドの在庫は5日分未満にとどまる。

オクラホマ州タルサの販売店、ジム・ノートン・トヨタのライアン・レディング氏は、「在庫車はすべて売れ、予約販売もかなり入っている」と話す。購入を待てない顧客は中古のRAV4に流れるため、中古車の需要も高いという。

米消費者団体専門誌コンシューマー・リポーツによると、2026年型RAV4の販売価格はメーカー希望小売価格を平均で約4%上回っている。

同誌のジェフ・バートレット編集長は最近のブログで、増産に伴い価格は徐々に下がるとの見方を示した一方、「ガソリン高でRAV4への関心が高止まりする可能性があり、当面は値引きを期待できない」と指摘した。

原題:Toyota RAV4s Are Suddenly the Most Coveted Used Cars in America(抜粋)

--取材協力:Max Rivera.

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