日本銀行の植田和男総裁が入院のため、来週の金融政策決定会合を欠席する。市場では利上げ見通しは変わらないとの見方が大半だが、会合後に記者会見を行う内田真一副総裁の発信を注視している。

日銀は10日、植田総裁が肝嚢胞感染症の治療で入院したと発表。15、16の両日開く決定会合は欠席する。総裁は書面で意見を提出するが、議決には参加しない予定だ。議長は氷見野良三副総裁が、終了後の会見は内田副総裁がそれぞれ代理を務める。

モルガン・スタンレーMUFG証券の山口毅日本チーフエコノミストは10日のリポートで、植田総裁の入院は、6月会合の政策決定に影響しないとし、利上げ予想は変更はないとした。一方で、会見に臨む内田副総裁について、植田総裁との比較で若干タカ派的になると、一部の投資家は予想する可能性があるとの見方を示した。

内田氏がこれまで利上げに前のめりな発信を続けてきたわけではないが、市場では、植田総裁が相対的に慎重とみられていたことが背景にある。物価上振れリスクに対する政策対応の遅れを指摘する声が市場で高まる中、今後の利上げペースやタイミングに関する会見での内田氏の発言に注目が集まる。

ブルームバーグの最新の調査によると、9割超が6月会合で政策金利を引き上げると予想。その多くは、その後の追加利上げに関する植田総裁からのシグナル発信の重要性を指摘していた。

みずほ証券の松尾勇佑シニアマーケットエコノミストは11日付リポートで、正副総裁が実質一体で政策運営を行ってきた中、内田副総裁が会見で植田総裁と大きく異なる見解を示すとは考えにくいと指摘。利上げペースがほぼ織り込まれており、発言が多少タカ派になる程度では円安の進行を抑止するにとどまるとの見解を示した。

ブルームバーグのデータによると、市場の金融政策見通しを反映するオーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)は11日朝、今月の利上げ確率の織り込みが一時73%まで下がったが、その後は100%近くに戻している。総裁入院の為替市場への直接的な影響は見られず、円相場はドルに対し160円台半ばでもみ合う動きとなっている。

木原稔官房長官は午前の会見で、植田総裁の入院に関して、「1日も早い回復を願っている」と述べた。その上で、日銀は組織として政策および業務を遂行しており、「総裁個人の一時的な入院により、政府との連携も含め、政策業務運営に支障が生じることはない」との考えを示した。

植田総裁が決定会合を欠席するのは2023年4月の就任以来、初めて。会合への出席者は8人になる見通しだが、仮に可否が4対4の同数になった場合、議長が決することになる。

外為どっとコム総合研究所の神田卓也シニア為替アナリストは、会見において内田氏が「安全運転で踏み込んだ発言を避けると、ややハト派」と見られ、利上げにそれほど前向きではないと受け止められる可能性があると語った。

内田副総裁も25年11月に白血病の治療のため入院し、一部の会合には病室や執務室から遠隔で参加していた。日銀によると、同氏は先月退院した。

(7段落目以降に背景情報と官房長官会見の内容を追加して更新しました)

--取材協力:グラス美亜、伊藤純夫、照喜納明美、院去信太郎.

もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp

©2026 Bloomberg L.P.