ホルムズ封鎖長期化でガソリン価格200円超も

先行き数カ月を見据えた場合には、ガソリン価格が急騰するリスクが高まりつつある。

ポイントになるのは、(1)ホルムズ海峡などの航行の正常化と、(2)湾岸産油国の石油関連施設の安全確保だ。

現状のようにホルムズ海峡やペルシャ湾内で攻撃を受けるリスクが高止まりし、タンカーの航行が滞った状況が続くのであれば、長期化するにつれて原油の不足感が強まり、原油価格の上昇圧力が高まっていく。

サウジなどは一部の原油輸出ルートを紅海側へシフトさせるとみられるが、容量的に全量をシフトさせることは出来ない。また、米国は米艦艇によるタンカーの護衛を検討しているが、実現性や実効性は不透明だ。

そもそも、イランの攻撃可能範囲はホルムズ海峡に限られるわけではない。ペルシャ湾全域で十分な安全を確保するためには、事実上の停戦が必要になる可能性が高い。

今後もホルムズ海峡を通行し難い状況が2~3カ月以上にわたって継続するのであれば、その状況が見えてくるにつれて原油価格は上昇し、WTI原油が1バレル100ドル(ドバイ原油では105ドル前後)を突破する恐れがある。

供給減少幅の大きさから見て、武力衝突直前からの上昇率は約5割とロシアによるウクライナ侵攻時(直前からピークまでで35%上昇)を上回るだろう。

サウジやUAEといった湾岸主要産油国にある大規模な石油関連施設がイランの攻撃によって相次いで損傷する場合も、復旧に時間がかかるだけに100ドルに達する可能性がある。

IEA(国際エネルギー機関)は加盟国に対して石油輸入量の 90日分以上の備蓄保有を義務付けているため、原油の供給不足や価格高騰に対して加盟国協調で備蓄放出を行う可能性がある。協調放出には一定の価格抑制効果はあると思われるが、価格上昇そのものを抑え込むことは難しいだろう。

ガソリン価格(都道府県別上位・下位)筆者の試算によれば、仮にドル円レートが現状並みの1ドル157円のまま、ドバイ原油価格が1バレル110ドルまで上昇した場合、直近で1リットル158.5円であったガソリン価格は204円前後まで45円ほど急上昇する計算になる。

そうなれば、暫定税率を廃止した効果が打ち消され、現在の史上最高値である186.5円を大きく更新することになる。

なお、ガソリン価格には地域格差があり、直近では、最も高い鹿児島県では1リットル167.6円である一方、最も低い宮城県では152.4円となっている。

仮に全国一律で45円上昇するとした場合には、最も低い宮城県でも198円と200円に迫ることになる。