所定内給与はほぼ変わらず
所定内給与(共通事業所ベース、以下同じ)は前年比+2.1%(11月:同+2.0%)と前月からほぼ変化なし。
一般労働者(同+2.1%、11月:同+2.2%)、パート労働者(同+2.3%、11月:同+2.4%)ともに大きな変化はなかった。
なお、最低賃金大幅引上げによるパート労働者の賃金上振れは今月も確認できていない。
所定内給与は春闘で決まる賃上げが1年間続く傾向があり、賃上げの影響が反映される月以外で大きく変動することは基本的にはない。
また、名目賃金は、ボーナスの支給時期である6、7、12月にボーナス動向の影響を大きく受けるが、その他の月については所定内給与の動きに概ね連動することが多い。
そう考えると、名目賃金は当面、所定内給与の足元のトレンドである前年比+2%台前半程度で推移することが予想される。
質賃金は26年1~3月期にプラス圏浮上の公算大も、物価上振れリスクに注意
12月の実質賃金は減少が続いたものの、減少幅は縮小している。
実質賃金が下げ止まるタイミングが近づいており、26年1月のプラス転化の可能性は十分ある。
その主因となるのは物価の鈍化だ。
前述のとおり、当面の名目賃金は前年比+2%台前半程度で推移する可能性が高いと思われる。
また、26年春闘では25年並みの高い伸びが実現するとの見方が強まっており、26年度の名目賃金も前年比で+2%台前半程度の伸びは期待できそうだ。
こうした点を踏まえると、実質賃金がいつプラスに転じるか、そしてその状態が持続するかどうかは、物価(CPIの持家の帰属家賃を除く総合)の伸びがいつ前年比+2%程度まで鈍化するか、そしてそれを維持できるかどうかという点にかかっている。
その物価について、消費者物価指数の「持家の帰属家賃を除く総合」は直近12月分で前年比+2.4%となっているが、先に公表されている東京都区部の結果を踏まえると、26年1月には前年比+2%を割り込む可能性が高い。
1月の実質賃金は24年12月以来のプラス転化になると予想する。
その先も物価は鈍化が見込まれる。
食料品において昨年の上昇率が高かったことの裏が出ることが今後も下押し要因となることに加え、政府による電気・ガス代補助金の実施が物価の押し下げ要因となる。
今回の補助額はかなり大きく、これによりCPIコアは2、3月に▲0.6〜▲0.7%Pt、4月に▲0.2%Pt程度押し下げられるとみられる。
「持家の帰属家賃を除く総合」も少なくとも3月までは+2%割れで推移するだろう。
こうした物価の鈍化を主因として26年1-3月期の実質賃金はプラスとなる可能性が高い。
一方、懸念されるのが円安による物価上振れリスクだ。
今後の為替レートの動向次第では、企業が価格転嫁を積極化させ、値上げが再び加速する可能性も十分ある。
その場合、食料品価格の鈍化ペースが想定よりも緩やかなものにとどまり、CPIが思うように鈍化しないという展開も十分ありうる。
電気・ガス代補助の額が大きいこともあり、26年1-3月の実質賃金はプラスになる可能性が高いが、補助が縮小・終了に向かう4月以降については不透明感が残る状況である。
年度替わりである4月に値上げが前年以上に積極化する場合、4月以降の実質賃金が再びマイナス圏に沈む展開も否定できない。
※なお、記事内の「脚注」に関わる文面は、掲載の都合上あらかじめ削除させていただいております。ご了承ください。
(※情報提供、記事執筆:第一生命経済研究所 経済調査部・シニアエグゼクティブエコノミスト 新家 義貴)
