実質賃金は減少持続も、ボーナス増によりマイナス幅は縮小

本日厚生労働省から公表された25年12月の毎月勤労統計では、現金給与総額が前年比+2.4%と、前月の同+1.7%から上昇率が高まった。

名目賃金から物価変動の影響を除いた実質賃金をみると、一般的に用いられる消費者物価指数の「持家の帰属家賃を除く総合」で実質化したもので前年比▲0.1%(25年11月:同▲1.6%)と僅かながら12ヵ月連続で減少、「総合」で実質化した値は同+0.3%と小幅プラスに転じている。

なお、報道等で言及されることが多いこの数字(本系列)は、調査対象事業所の部分入れ替えやベンチマーク更新等の影響により攪乱されることが多く、月次の賃金変化の動向を把握することには適さない。

そのため、1年前と当月の両方で回答している調査対象のみに限定して集計された「共通事業所」の前年比データを見る方が望ましい。

この共通事業所ベースの値をみると、25年12月は前年比+2.0%と11月の同+1.1%から上昇率が拡大、実質賃金は前年比▲0.4%(11月:同▲2.2%)と12ヶ月連続で減少したものの、落ち込み幅は前月から縮小している(消費者物価指数の「総合」で実質化した実質賃金は前年比▲0.1%)。

このように、本系列でも共通事業所でも名目賃金の伸びが拡大、実質賃金の減少幅が縮小している。

11月は、特別給与が一時的に大幅な下振れ(本系列:前年比▲1.5%、共通事業所:同▲10.2%)をみせたことで下押しされていたが、12月にはボーナス支給による押し上げで特別給与がプラスに転じた(本系列:前年比+2.6%、共通事業所:同+1.8%)ことで、下振れが解消された格好だ。

こうした特別給与による攪乱を除けば、名目賃金は概ね前年比+2%台前半程度で推移しており、基調に変化はみられない。

こうしたなか、物価上昇率がピークアウトしていることで、実質賃金の減少幅が縮小に向かっているという構図である。

なお、冬のボーナスについてはまずまずの結果といったところだろう。

12月の特別給与(共通事業所ベース)は前年比+1.8%と増加している。

大幅増とまではいかなかったが、昨年12月に同+7.5%と急増し、裏が出やすい状況だったにしては健闘したと言って良い。

価格転嫁を積極的に進めたこともあって企業業績は底堅く推移しており、利益の水準も高い。

従業員への還元余力は十分あるため、企業は賞与の引き上げに踏み切ったとみられる。

また、物価高により、家計に賃上げの恩恵が感じられないことへの問題意識は高まっており、企業も物価高への配慮を行わざるを得ないことに加え、人手不足感が強まっていることも人材確保の面から賃上げに繋がったとみられる。