フィルターバブルはどのようにして生まれるのか
フィルターバブルは単一要因では説明しにくい。
大規模SNSデータの研究では、ニュース接触の偏りに対して、主に要因①プラットフォームによる順位付け・推薦、要因②利用者がつながる相手(同質的ネットワーク)からの流入、要因③利用者自身のクリック選好、がそれぞれ寄与し得ることが示されている(Bakshy,Messing & Adamic,2015)。
要因①プラットフォームによる順位付け・推薦について説明すると、プラットフォームは一般に、滞在時間や反応を増やすために推薦・ランキングを個々の利用者向けに最適化する。
ここで注意すべきは、最適化の目的が「真実性」や「公共性」ではなく、「視聴される/反応される」指標に置かれがちな点である。
要因②同質的ネットワークからの流入については、そもそも人は似た価値観や関心を持つ相手とつながりやすい。SNS上の関係性が同質化すれば、共有されるニュースや意見も偏りやすくなる。
Bakshy et al. (2015) は、友人ネットワークの同質性が、接触する情報の多様性に影響し得ることを示している。
要因③利用者自身のクリック選好については、利用者自身が「見たい情報」を選び、クリック・視聴する。その行動が学習データとなって推薦がさらにパーソナライズされ、同種情報への接触が増える、という自己強化ループが生じ得る。
フィルターバブルが生じる原因は、「アルゴリズムのせい」だけでも「利用者のせい」だけでもない。設計(推薦機能等)×関係(ネットワーク)×選択(行動)の相互作用で生まれる現象である点に留意すべきである。
したがって対策も、単一の対策で済ませず、複数の打ち手を組み合わせていくことが重要である。