【出会った先の『雇用』問題】

以上の東商の24年調査の結果をそのまま地方に転用するには、大きな問題がある。

それは女性の仕事問題だ。地方の未婚化対策議論では「できれば地元男性と地元外女性の出会い推進」という「男性は動かず、女性に動いてもらう」案が少なからず出る。

しかしそもそも、東京への若者の流出は雇用が原因であり、24年に社会減となった40道府県合計において、男性の1.3倍もの女性が流出減していることを考えると、地方はジェンダーレス雇用を進め、地元に雇用で若い女性が定着できるようにすることが出会い創出の第一歩である。

にもかかわらず、「雇用は特に用意しないが、県外女性の結婚移住に期待」という考えは、「私の仕事がない以上、彼との結婚は考えられない」という結論につながりかねない。

若者の結婚希望は高止まりのまま、未婚化が進む日本。エリアの人流構造とその原因のエビデンスをしっかり理解した上で、若者の出会いを生み出せる政策が検討されることを期待したい。

(※情報提供、記事執筆:ニッセイ基礎研究所 生活研究部 人口動態シニアリサーチャー 天野 馨南子)

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