統計ではつかめない「生活文脈」を理解する重要性
都市計画において、「この地域はどのような日常を積み重ねてきたのか」という視点を持つことはそのまちに求められる計画にするためには重要な点である。
統計や地図、行政計画を読めば、その土地の人口構成や産業、交通網、将来ビジョンなどは一通り把握することができる。
しかし、そこに暮らす人々が一日をどのようなリズムで過ごし、何を当たり前と感じ、どの場面で小さな喜びや不安を口にしているのかといった細部までは、資料から把握することは難しい。
都市計画の中での住民参加の場において、住民と向き合うとき、この生活の文脈をどれだけ具体的にイメージできているかが、コミュニケーションが円滑に進めることができるかを左右するのである。
外から地域に関わるときに、地域の生活を知る方法はさまざまである。役所で担当者の話を聞き、実際に商店街や住宅地を歩くことで、統計では分からない現場の空気感を知ることが出来る。ここまでは比較的想像しやすいプロセスである。
一方で、地域住民のまちに対する想い、住民自身も意識していない意識についてはなかなか知ることはできない。居酒屋は、それらの情報を手に入れることが出来る場のひとつとなり得る。