スタンフォード大学の研究チームが発表した研究では、コロナ禍前後に米国の主要都市で片道120km以上の通勤者が32%増加したと報告されている。

日本でもコロナ禍での地方移住の関心の高まりを受け、実際に長距離・長時間通勤者の割合は増加したのだろうか。

本稿ではニッセイ基礎研究所が2019年から毎年実施してきた独自の調査の分析から、都道府県別に片道90分以上の通勤者(エクストリーム通勤者)の割合を概観し、コロナ禍前後で変化が見られたのかを検証する。

調査概要

本分析には、ニッセイ基礎研究所が毎年実施している独自のWebアンケート調査である「被用者の働き方と健康に関する調査」のデータを用いた。

本調査は、全国の18~64歳の被用者(公務員もしくは会社に雇用されている人)を対象に、2019年から2025年まで毎年2月から3月頃に実施されてきた。

回答数は各回5,500から6,500程度である。回答は、全国11地区の性別及び年齢層別の分布が国勢調査の分布にできるだけ近づくように回収している。

2020年の調査結果については、都道府県別の通勤時間の平均値が別の大規模調査と類似した傾向を示すことが確認されている。