FUSの3つの原因

日本肥満学会によると、FUSの原因には、(1)体質性痩せ、(2)SNS、ファッション誌などのメディアの影響による痩せ志向、(3)社会的経済的要因・貧困などによる低栄養、と大きく分けて3つの視点があると考えられている。

体質性痩せとは、痩せ願望や摂食障害、過剰な運動がなく、低体重状態が長時間持続する体質的特性を指すと言われている。令和5年の国民健康・栄養調査によると、BMI<18.5㎏/m2の痩せている女性の割合は12.0%であり、年齢区分別だと20〜30歳代女性の痩せ割合が20.2%と高い傾向にある。

これらすべての方が体質的な痩せであるかは不明ではあるが、日本人女性の痩せのうち、約40%が体質性痩せであるとの報告もあり、その後の健康影響を考慮すると見逃せない状態にあると言える。

また、2018年の小学6年生から大学生の女子を対象とした調査では、いずれの発達段階でも理想体型と実体型にはギャップが生じていることが確認されており、厚生労働省の調査では、SNSの利用時間が長い程BMIが低く、理想体型も細いことが判明しており、女子大生を対象した調査では、美容やダイエットなどの「美しさ」に関するカテゴリーへのアクセスが増えるほど痩身願望も強まる傾向が確認されている。

さらに近年では、相対的貧困や健康格差が注目を集め、経済的な困窮を理由に十分な食事量や回数を確保できず、結果的に低栄養状態や低体重に陥るケースが報告されている。

FUSの対象とされる18歳以上の成人女性に留まらず、成長段階にある子どもからの栄養状態が後の成人期にも影響することは既知の事実であり、小児期の痩せや肥満、栄養摂取状況や体重の増加推移などの継続的な観察は大変重要な視点となろう。