女性の低体重・低栄養症候群(FUS)とは?

FUSが引き起こす健康障害

日本肥満学会によると、FUSは、「低体重または低栄養の状態を背景として、それを原因とした疾患・症状・兆候を合併している状態」と定義されている。

関連する健康障害としては、「低栄養・体組成の異常」、「性ホルモンの異常」、「骨代謝の異常」、「その他の代謝異常」、「循環・血液の異常」、「精神・神経・全身症状」などが挙げられている。

例えば、月経周期異常や筋力の低下、低血圧や冷え性など、普段の生活で感じる体調不良などの症状には、この低体重・低栄養状態が根本的な原因疾患として隠れている可能性がある、ということである。

この概念設定の目的は、「明らかな疾患では説明できない、主に低体重・低栄養が背景となった多彩な健康障害に着目し、早期発見・予防・介入の枠組みを構築することである。」とされている。

また、この疾患概念を構築する際には、摂食障害や甲状腺疾患や悪性疾患などによる二次性の低体重は除外されるべきであり、原疾患の治療を優先するべきこととされている。

さらに、現時点において、この疾患は18歳以上から閉経前の女性を対象にされた概念であり、ホルモン環境や加齢要因の影響が大きくなる閉経後の女性や男性については含まれない点にも留意が必要である。

他にも、今回の疾患概念の構築に伴い、体質性痩せの方や貧困による低栄養状態にある方などには、個人の責任ではなく社会的要因も含めた解決策の提示が必要であり、理解を醸成する必要があることも併せて示されている。