3|担い手確保と農業経営の大規模化による生産性・収益性向上
農業の持続的発展には、次世代の担い手確保と、農業経営の大規模化・法人化による生産性・収益性の向上が重要な課題である。
就労人口の高齢化や減少といった問題に対しては若者や新規就農者の参入を促す必要がある。
また、農業の経営基盤そのものを強化するためには、まず就農支援金の拡充や教育・研修体制の整備を進めるとともに、農業高校や大学など教育機関との連携を通じて、現場で即戦力となる実践的な人材を育成する体制を構築することが求められる。
加えて、農業の法人化を推進し、経営の安定性や成長性を高めるとともに、若者が魅力を感じて働ける就業環境を整えることが重要である。
また農業の大規模化は規模の経済性を活かしてコスト削減と収益性の向上に寄与するだけでなく、スマート農業との親和性が高い。
ドローンによる農薬散布や、自動走行トラクターによる省力化など、先端技術の導入は大規模経営によって効果を発揮するものである。
これらの技術の導入・普及には、多大な資金や技術が求められるため、初期投資への補助や、技術習得の支援を通じた導入障壁の低減が不可欠である。
さらに、農業経営の大規模化を短期間で実現することは困難であることから、特に主食用米の生産については、今後も小規模経営体が中心的な役割を担うことが想定される。
これら小規模経営体が過度なコスト増に直面した場合には、所得補償等の仕組みを整備することにより、規模の経済が活かしづらい地域や条件不利地においても持続的な経営を支えることができる。
こうした多層的な支援策を講じることによって、日本農業の基盤強化と将来的な供給力の再構築が期待できる。