夫は ”過労死” 遺族が市と県を提訴

その時、妻は妊娠6か月。生前、子どもたちと叶えたい夢があったと話していた昏睡状態の夫に、せめてお腹の子ども性別は伝えてあげたいと、妻は医師に性別の確認をお願いしたといいます。

亡くなった男性教諭の妻:「いろいろと夢はありましたからね、主人も息子としたいこと。前は野球の顧問をしていたので一緒に野球をしたりとか。娘の結婚式にバージンロードを歩きたいとか言っていたので、そういうのはすべて叶えられなくなりましたね」

夫は、妻と当時2歳の娘、そして会うことのなかった息子を残して、この世を去ってしまうことになったのです。

亡くなった男性教諭の妻:「家族4人揃った写真がない。なので似顔絵を描く方に4人一緒のやつを描いていただいて、でもそれが家族写真になってしまったっていうのが、ちょっとつらいですね」

男性の指導する女子ソフトテニス部は県下の強豪校であり、男性はソフトテニスの経験がない中、その指導に熱心にあたってきました。
3年生の担任、理科の教科担当としての授業、ソフトテニス部顧問としての過重な負担が生じる中、長時間勤務に従事してきたのです。

結果、男性が亡くなる前までの時間外勤務時間は3か月連続で100時間超え。倒れる前日までの53日間で休みはわずか1日だけでした。地方公務員災害補償基金県支部は、男性が亡くなったのは長時間労働による「過労死」と認定。

2019年、妻と子どもたちは、男性が亡くなったのは滑川市が安全配慮義務を怠ったためだなどとして、県と市にあわせておよそ1億円の損害賠償と謝罪を求める訴えを起こしました。

訴えに対し市側は「部活動の指導は教員の“自由裁量”」と反論。賠償責任はないとして請求棄却を求め、県も同様に争う姿勢を示しています。