旧統一教会の幹部が富山市議会の自民党会派で繰り返し講演していたことがチューリップテレビの取材で分かりました。講演は議会棟で開催されていた上、同性婚反対など旧統一教会が主張する内容でした。旧統一教会と富山政界との近すぎる関係が改めて問われています。
講演を行っていたのは、世界平和統一家庭連合、旧統一教会の関連団体、国際勝共連合幹部の青津和代氏です。国際勝共連合は、旧統一教会の創始者、文鮮明氏が1968年に韓国で創設した共産主義に反対する団体です。
青津氏は2019年6月、富山市議会の自民党会派で講演していたほか、今年1月にも富山市議会自民党が講演会を開催していました。

今年、講師に呼んだのは副議長の成田光雄市議です。その経緯を聞いてみると。
成田市議:
「私が講師(青津氏)をうち(自民党会派)の政調会長に紹介して『勉強会をやろうか』ということで開催しました」
講演の内容は、同性婚や性的マイノリティ、いわゆるLGBTに反対するものなどだったといいます。
成田市議:
「例えばサウナとか入浴施設にしてでもパートナーシップ制度か推進する地域、または法律でそれを認める地域だったら、いろんな問題が事件につながったり、マイナスの部分を青津氏がはっきりと実例をもとに言われていたので、これは知っておくべきだな、別に反対していくことを推進していこうというのじゃなくて、そういう情報も知ってて正しい判断をしていこうということです」
一方で、講演会に参加した市議の中からは、こんな声も…。
市議:
「LGBTについて今進めようとしている、理解をしていこうということには反対の立場の方でしたね。私はLGBTについて理解を深めればいいという立場だったので、私の考え方とは反対の方だなと思いました」
旧統一教会は合同結婚式を重要な儀式としていて、同性婚やLGBTの推進に強く反対しています。しかも、議会棟で議員を集めて教団幹部の講演会が行われていたことについて霊感商法問題に取り組む紀藤弁護士は大きな問題があるといいます。
紀藤正樹 弁護士:
「大変大きな問題があると思います。青津和代さんという方はですね、統一教会の熱心な信者で特に勝共部門の責任者の一人で、国際勝共連合の選挙対策とかを実際に担当していたという人物です。いわば統一教会の活動のかなり大きな部分を担っていた人物を議会の(建物の)中に呼んで、そこで講演をするということ自体もですね、統一教会の活動に加担するようなものです」
「我々被害者を救済する立場から見ると、到底容認できないし、今回こういう形で統一教会の問題が大きく報じられて、そして多数の被害者を出ていることが、もうわかったわけですので、これ以上やめてほしいというふうにつくづく思います」

勉強会の会場が議会棟だったことについては…
紀藤正樹 弁護士:
「無償で議会の会議室を宗教団体の活動の一環として借りるということになると、それは政教分離の観点から問題になる場面があると思います。統一教会の活動というのは、いろんなところに浸透していくという、政治に浸透するとか、学者に浸透していくとか、正体を隠して浸透していくっていうことを繰り返している団体で、その浸透の結果、最終的に、学者を統一し、政治を統一し、国家を統一し、世界を統一して、そして家庭を通して、全てを統一するんだという発想の宗教団体なんです」
「富山県は、特に顕著に市長や知事などが、どうも統一教会との関係を深めているようなので、これは富山県全体でこの問題を真剣に考えないと、いつの間にか統一教会の思考、そしてその信者たちの考え方というのが議会の中で反映していくんじゃないかと、とても大きな問題ではあるし、民主主義という観点から見ると、統一教会信者を隠して、自分たちの考え方を伝えていくっていう発想自体が、そもそも選挙というものに合わないんです」
旧統一教会の関係者という認識があったのか、改めて成田市議に聞きました。
成田市議:
「今、前の資料を確認したら、青津和代さんだったかと思います。ある団体の事務局をしている人ですね」
記者:「国際勝共連合と呼ばれる旧統一教会の関連団体の方なんですが…」
成田市議:「あー、それはわかりませんでした」
記者:「ご存じではなかったのですか?」
成田市議:「知りませんでした」「その名前も初めて知りましたし…」
青津氏と旧統一教会の関連団体とのつながりについては知らなかったと否定しました。
記者:「旧統一教会の考え方を広めることのようにも考えられますが…」
成田市議:「それは、よろしくないですね。ちょっと問題が…。関係の団体の考え方を広めるということにはつながらないと思いますけども」
「私たちはそれを聞き入れて、どう判断していくか、一つの材料にしかすぎないので、考えた方で、すぐ聞いてそれを採用しようということではないので、参考にということで聞いた程度なので…」