ようやくついた自宅 娘は「お母さん、お母さん…」

しげ子さんの手記より
「ようやく空家同然の目茶苦茶に壊れた我が家にたどりついた。ご近所の方達に手伝ってもらって落ち込んだ座敷の片隅に寝かせた。とても苦しそうで見ていられなかった。

大八車を返さなくてはならないので『お母さん、お母さん』という娘を一人残して、隣組の方に頼みに行って帰るとすぐ『お母さん』と云ったきり息を引き取ってしまった。

私は余りのショックでしばらくは涙も出なかった。あゝ2人の子供は遂に死んでしまった」