「一歩間違えたら生きていなかった」呉空襲が伝えるもの

一方で、変わり果てた街の光景も脳裏に焼き付いています。一夜にして焼野原となった呉のまち。犠牲になった市民は1800人以上。2万戸を超える住宅が全焼全壊し、12万5000人もの市民が家を失いました。中には逃げ遅れ、防空壕の中で熱や窒息のために亡くなった人もいたそうです。
大之木精二さん
「焼死体を結構見た。黒焦げだけどね、まるきり人形が倒れている感じだった。一歩、間違えていたら逃げ遅れて、防空壕でね。蒸し焼きになっていたかも分からんね。焼夷弾が直撃で、何発か落ちていてね、まさにそのままいたら大事だった。生きてなかった」
先月、初めて開かれた防衛省の「複合防衛拠点」案についての住民説明会。参加した住民からは不安の声もあがりました。

参加者
「自衛隊がある時点で、すでに(ミサイルが)飛んでくる可能性は秘めている。その中で基地を大きくしたら、可能性が大きくなる」
呉市・大森和雄総務部長
「住民の方の安全と、経済的なメリット、これを必ず両立させていかなくてはならないことであると思っております」
重要な軍事・防衛の拠点として発展してきた呉のまち…。呉空襲が伝えるのは、そこに住む人たちも否応なく巻き込まれ、犠牲となった戦争の事実です。