芝居小屋から成人映画にシフトチェンジ 時代の変化の波が

役者たちを育てた首里劇場ですが、時代の波には逆らえず、テレビ放送が存在感を増してきた1970年代頃から客足が減少。そして劇場は生き残りのため『成人映画』に舵を切ります。

3代目館長の金城政則さんは、コロナ禍をきっかけに、昭和の名作を上映する『名画座』として、再出発を図るなど劇場を守り抜こうとしてきました。しかし去年4月、病気のため急逝。

その後、平良さんたち有志の会が1年近く、劇場の存続を模索してきましたが、建物の老朽化が激しく、解体することが決まりました。

最後に、首里劇場調査団の平良さんが、戦後間もない頃に劇場の壁に書かれた落書きを見せてくれました。

首里劇場調査団 平良竜次さん
「これを読むと『君聞くか新生の声 首里市の劇場』って書いてあるんです。沖縄戦で何もなくなった首里に、新しく文化を発信する劇場ができたんだという喜びみたいなものを感じてしまって、本当に、書いた方の気持ちを考えると胸にきますよね」

戦後、沖縄の大衆文化がどう変遷していったかを教えてくれる首里劇場。その存在そのものが文化財のようにも感じられます。