2026年の完成を目指し再建工事が進む首里城です。並行して彫刻などの作業も進んでいますが、福井県の工房では「懸魚(げぎょ)」と呼ばれる屋根飾りの制作が進められています。この制作に二人三脚で挑む彫刻家夫婦を取材しました。

「失敗が許されない」首里城再建に臨む彫刻家

在りし日の首里城の姿を目指して。正殿の再建工事が進む中、装飾品の製作も行われています。屋根の一番高い所につかわれる棟木を隠し、装飾的役割を持つ”懸魚”。この彫刻が行われているのが北陸は福井県鯖江市です。

メガネフレームの生産量が日本一で、メガネのモニュメントがあちらこちらに見られる街で、首里城の懸魚は製作されています。この日は、5割ほど彫り上げた懸魚を専門家が監修する日。

山本信幸総棟梁
「この端もね、もっとシュッとしてる。(平成の復元時は)もっとシャープ。ここは割となだらかで」

福井の彫刻家 鈴木良一さん
「なるほど」

総棟梁の言葉に耳を傾けるのは、彫刻家の鈴木良一さん。最終工程の「仕上げ」に向けての修正点を頭に叩き込みます。

鈴木良一さん
「以前の首里城があるじゃないですか。それに忠実に作ることを心掛けています。失敗が許されないので緊張してやらないといけない」

良一さんの緊張感をともに共有するのが、同じ工房で作業する妻の美央さん。手掛けるのは、懸魚の上に施す“六葉”とよばれる装飾です。

鈴木美央さん
「私は彫ることしか出来ないので。その技術を使って、再建の工程の一つになっているのはすごく光栄だと思いながらやっている」

沖縄から遠く離れた福井にあって、鈴木さん夫婦が、再建に抜擢された理由はー