■ 争点は心神”喪失”か”耗弱”か

被告は認知症の祖母に加え、同居する祖父の介護も一人で行っており、そのストレスなどから精神障がいを発症。
『全裸で市内を歩き回る』『自生している植物を食べる』などの奇行が目立つようになったといい、検察側も被告に精神障がいがあったことを認めています。
弁護側は”善悪の判断や犯行を思いとどまる能力がなくなった ”心神喪失の状態” にあった疑いが残るとして無罪を主張していました。

心神耗弱…精神障がいの影響で「善悪を判断する能力」「犯行を思いとどまる能力」が著しく低下
心神喪失…精神障がいの影響で「善悪を判断する能力」「犯行を思いとどまる能力」が失われていた

■ 裁判員らの判断は ”心神耗弱”

判決で潮海 二郎 裁判長は、被告が犯行時に患っていた介護ストレスによる『急性一過性精神病性障がい』が、執拗で激しい犯行に「大きく影響した」と指摘。
そのうえで認知症の祖母から何度も食事を要求されたことに対する『怒りによる行動』などは「正常な精神作用が介在した」と認定し ”心神耗弱に留まる” と判断しました。