東北地方では「かせどり」 九州では「かせだうち」など似た行事が

取材班が都城市史などさまざまな文献を調べると、全国に顔を黒く塗って行う同じような伝統行事があることが判明。

その内容はどれも異なるが、秋田県や宮城県といった東北地方では「かせどり」、九州では「かせだうち」や「かせいどり」などの「かせだうり」と似たような名前だった。

一体どういう背景なのか、民俗学に詳しい放送大学宮崎学習センター永松 敦 客員教授は。

(放送大学宮崎学習センター 永松 敦 客員教授・民俗学)
「これは来訪行事という家を来訪する行事。これは九州だけでなく有名なところでは東北地方の『なまはげ』もそう。そういった行事が日本全国各地にあり、『かせだうり』もそのうちのひとつ。名前として東北や佐賀の『かせどり』に非常に近い関係。これは個人的な見解だが、『かせどり』が『かせだうり』に変わっていったのではないか。『かせだうり』という何かを販売する行事がほかにもあるのかというと、ほとんど類例がない。非常にめずらしい」

また、永松客員教授は地域のコミュニティが希薄化する現代において、こうした伝統行事を続けることは大きな意味を持つと話す。

(放送大学宮崎学習センター 永松 敦 客員教授・民俗学)
「子どもの頃の楽しい記憶は大人になっても覚えているものだから、その日は帰ろうとか、若い人たちが外(県外に)に行っても『かせだうり、やろう』と戻ってきたら一番いいのでは。そうやって地域は支えていくものだろうと思うので、伝統行事はちゃんと伝えていった方が地域のためにいい」