「長生きしてほしかった」被告が謝罪
本人尋問で、証言台に立った被告は「本当に母には残酷なことをしてしまったと、申し訳ない気持ちでいっぱい。事件前まで、母には長生きしてほしいと思っていた。酒を飲みすぎてしまった自分の行動がダメだった」と涙ながらに謝罪しました。
弁護士に、母がどういう気持ちで死を選んだと思うかと問われると「暴力と暴言で、母は絶望してしまったと思う」と述べ、「実家に戻ったとき、母のいない暮らしが始まると思うと本当に寂しい」と言葉を詰まらせました。
「酒がなければ…」お盆休みで大量の酒を用意
被告は仕事から帰るとき、母の健康を意識してステーキ肉やすき焼肉、季節のフルーツ、アセロラドリンクなどを買って帰っていたとし、酒を飲んでいないときは親子仲が良かったと主張。一方で、酒を飲むと「楽しいときは楽しくなるし、怒っているときは倍増される」と、理性を失うことが以前にもあったことを明かし、犯行前後のお盆休みのために「第3のビール」の500ミリ缶を12本と、900ミリの芋焼酎1本を用意していたことも証言しました。
そして母親に向かって「はよ死ねや」と暴言を吐いたことについては「本気で怒っていることを分かってもらいたかった。ずっと一緒に居たかった。酒がなければ絶対にあのようなことはなかった」とし、今後はカウンセリングを受けて酒を断つことを誓いました。
検察「教唆行為は相当悪質」懲役3年求刑
検察側は論告で、同居の肉親を精神的に追い込み、教唆行為は相当悪質だとして、懲役3年を求刑しました。
一方、弁護側は、被告が母親の死を望んでおらず、執拗に自殺を迫ったものでもないとして、執行猶予付きの判決を求めました。
そして10日後、被告に判決が言い渡されました。