「大納言の格式」加賀藩主も入るのを遠慮した逸話

「上時国家住宅」で目を引くのは、御前の間。公家書院造りで、金で縁取った格子天井、欄間は透かし彫り、柱は漆が塗られ、贅を尽くした作りとなっています。

この部屋は、通称「大納言の間」。前田家十三代藩主・斉泰(なりやす)が訪ねた際に自らの官位が中納言であったため、天井に紙を張り格式を下げてから入った逸話が残され、格式の高さを今に伝えています。 ※時忠は大納言。

御前の間(大納言の間)

上時国家は長年、奥能登の観光名所として一般公開されていました。特に1960年代は、「最後の秘境」「陸の孤島」として注目されたいわゆる「能登観光ブーム」で、毎日大型観光バスが止まり、定番スポットの1つでしたが、運営困難を理由に2023年8月で閉鎖しました。