こちらは高知市にある高齢者施設=ピアハウス高知です。およそ100人の利用者がいて、そのうち70代から90代までの高齢者50人が、職員のサポートを受けながら施設内で生活をしています。これまでは家族との面会に制限を設けていましたが、5類への引き下げに伴い通常の面会や外出を再開。施設の理事長は利用者たちが『明るくなった』と話します。

(ピアハウス高知 内田泰史 理事長)
「(入所者の)やる気が出てきたの大事ですね。やっぱり今までは外に出られないと仕方ないと諦めていた人が、自分も外に出られるんだと希望を持ってきた。元気になったらまた家に帰れると希望が出てきたので本当に明るくなってきたと思います」

コロナ禍でも施設はできるかぎり面会を続ける努力をしてきましたが、去年冬からの第8波では対面での面会を中止する判断を余儀なくされました。その当時の心境について理事長は…

(ピアハウス高知 内田泰史 理事長)
「入所者同士も話ができないし、職員も最小限の話しかしないとか、やっぱりごはん食べるときは、いろんなこと話しながら食べるとおいしくて身にもなるけれど、黙食といって黙って食べるとおいしいものもおいしく食べられなくなってしまって、本当に寂し思いをさせてしまったかなと」

6月から施設で生活している前田さんです。施設に入る前に入院していた医療機関では、コロナ禍で面会が制限されていて、家族に会えない日々が続きましたが、現在は週に1~2回、娘さんらが面会に訪れています。

(面会に訪れた娘は)
「うれしいですね。様子がよく分かって、来るたびに(母の)表情が柔らかくなって。マニキュアを塗ってあげてるんですけど、母も楽しみに待ってくれゆうので、(面会の)回数が増えてお互いうれしいです」

「『ご飯おいしい?食べゆう?』とか『よう眠れゆう?』とか日常のささいなことですけどそれを確認し合うみたいな感じです。9波のこともあるのでそうなったら仕方ないですけど、会えるうちはできるだけ会えるようにしてます」

常に利用者と共に過ごし、気持ちに寄り添ってきた職員たち。どんな状況でもできるかぎり『大切な面会』を続けていきたいと考えています。

(ピアハウス高知 内田泰史 理事長)
「やっぱり人と人との付き合いが減ってしまうと、寂しい思いをする。入居者同士の話も入居者と職員の話も減ってくるとか、楽しいこと一緒にゲームをするとかもなくなるし、家族との面会も減ってしまうと、本当に悪くなると思っていますからなんとか時間制限をするにしても面会を続けることを考えています」

9波がこれからどうなるかわからないですが、面会が制限されるとなると家族と会えない時間が長くなってしまう、そうすると身体・心の両面での心配の気持ちが強くなってしまいます。人と会話をすることが心の健康にもつながる、家族ならなおさらですね。会話をすること、家族との会話・面会することの大切さを感じました。取材にあたった今橋さんは、こうした状況をどう感じましたか。

はい、特に私が印象に残ったのは、「リモートで面会をしても利用者本人は面会した気持ちになっていない」と内田理事長が話していたことです。現在は、スマートフォンを利用すれば、リモートでビデオ通話をするなど誰でも簡単につながることができる時代となっています。しかしどんなに世の中が便利になったとしても施設で暮らす高齢者の中には画面上で会話をすることを難しく感じる人がいることも事実です。大切な人と会いたいと願う人のために、私たちはコロナ禍で学んだ教訓をいかし、ひとりひとりが感染を拡大させないために気をつけていかなければならないと改めて感じました。

ここまで今橋記者とお伝えしました。