豊かな森の魅力を再発見してもらおうというイベントが21日に高知県梼原町で開かれました。県内外から大勢の人が訪れたこのイベントには、町民が守りぬいてきた財産を未来につなげたいという町の人たちの思いがありました。

雲の上の町、梼原町。面積の91%を森林が占めるこの町で21日、より多くの人たちに森をもっと身近に感じてもらおうというイベントが開かれました。

(梼原町 吉田尚人 町長)
「この公園でこれからいろんな人がいろんなご縁をつなぎながらさまざまなものを生み出し、新たな考えを生み出し、そしてそれがこの社会にお役に立っていける、そんな公園になっていくことを心から夢見ているところです」

会場は町の玄関口に位置する太郎川公園です。1986年に開園し、最近は木が生い茂っていたものの、梼原らしい自然を思いきり体感できる場所に戻したいとおととしから整備。この春、太陽の光が差し込む明るい森に生まれ変わりました。

津野山神楽

イベントは1000年以上受け継がれている国の重要無形民俗文化財 津野山神楽(つのやまかぐら)で幕を開けました。

公園内には小さな植物園「ゆすはら湿生園」も誕生しました。さまざまな植物に囲まれ小川のせせらぎを聞きながら遊歩道を歩いたり、家族や友人とおしゃべりを楽しんだりすることができます。

この日は子どもたちに林業に興味を持ってもらおうとこんなレクリエーションも!

「めっちゃこわいです!でも結構きれいですよ」

職場の垣根を超え、林業技術の向上などを目指す若手グループ、「CoMORI(こもり)」のメンバーが、子どもたちにロープを使った木の登り方を教えます。

(CoMORI副会長 川上政志さん)
「みんな森に入る機会も最近なくなってきちゃってて梼原町民でも山で遊ぶこと、自然に触れる機会がなかなか少なくなって来てるので、こういったイベントを通じて自然に触れてもらって森や自然に関心を持ってもらえたら。林業従事者も少なくなってきてるので、こういった自然に触れて将来そういった仕事に就いてみたいなっていう子どもが増えてくれたらうれしいなと」

「これを上げる、下から上にぎゅっと。そうそうそう、いい感じ!」

(愛媛から)
「外で遊ぶ機会ってなかなか難しいので普段、すごく楽しいです。図書館がすごく有名だったのでイメージしてたんですけど、図書館だけじゃなくて街並みもすごくきれいでこういう所もあってもっともっと楽しいんだなと思って、もっと何回も来たくなりました」

“もう一度、一緒に森林(もり)にはいろう”をテーマに開かれた今回のイベント。シンポジウムでは招待されたインフルエンサーが外から見た「梼原の良さ」を語りました。

(雑誌編集長 ルーカスB.B.さん)
「空気がおいしいなとぼく初めて経験した。(世界中を旅したルーカスが)空気がすっごく美味しいなと思って。だからいろんなところ行ってもちろん気持ちいいなとあちこち思ったけど、ほんとこの空気の味、おいしかったよね」

長い長い時間をかけて育まれる木。この森も何十年も前に木を植え、手入れをしてきたからこそいまの姿があります。この“梼原の宝”を、将来につなげようと、町の人たちは力を注いでいます。

(梼原町 森林の文化創造推進課 立道斉 課長)
「森って非常にネガティブなものになりつつあります。例えば一生懸命おじいちゃんおばあちゃんが育ててきたけどお金にならないとか、子どもたちに譲ったら迷惑になるんじゃないかとか。それを、しっかりと価値を伝えていくということが我々の役割なんじゃないかなと思いましたので、3年前に始めて、いろんな仲間と応援をいただきながら木を作ってきて、そうしたものが形になって子どもたちが森で遊んだり歓声をあげたり、森ってほんとはもっとすばらしいものだと、お金だけじゃない価値があることをいろんな仲間と一緒にこうやって表現できるっていうのは」

森の価値を後世に伝えていく。豊かな自然に恵まれた高知だからこそ忘れがちではありますが、祖父や祖母、もっと前の世代の人たちが大切に育ててくれたからこそあるわけなんですよね。改めて、高知の豊かな自然に誇りを持ちたいですね。