百貨店などの夜勤現場を舞台にした公演「養生」が12月に高知市で行われます。どんな物語になっているのでしょうか。脚本家と出演者に見所などを聞きました。

2025年12月、高知市の県民文化ホールで公演が予定されている舞台、「養生」。舞台作品などを制作する団体「ゆうめい」が、結成10周年を記念し全国6都市で上演します。脚本と演出に加え、セットなどの美術を手がけたのは、「ゆうめい」代表の池田亮さん。主人公を務めるのは、演劇ユニット「ウンゲツィーファ」の作家、本橋龍さんです。物語の舞台は百貨店やショッピングモールの夜勤現場。本橋さんはそこで正社員として働く「橋本」を演じます。

(主人公を務める 本橋龍さん)
「『あの頃ああいう大人になりたいと思ってなかったのにな…、しかし気が付けば』というところ、感じる方多いと思うけど、しかしそこに至るまでには、『通らなければいけない道があったな』ということを改めて思い返したり、たたえ合ったりとか、そういった作品と感じている」

実はこの物語、演出を手がける池田さんが美術大学の学生だった頃の経験をもとにした、実体験とフィクションから成る作品です。本当はやりたかったことが「自分には向いていない」と諦めた時、他の職業に没頭することで今の仕事の方が向いているとひたすら信じ、生きる様子が描かれています。

(脚本・演出・美術を手がけた 池田亮さん)
「他の作家や同期と比べて全然うまく作れないし、教授からも全然評価されないしってなったときに、自分は作品を作るより夜勤のほうが向いているなとずっとやってて、でも自分にはこれ(美術)が向いていると思いつつも、なんかどこかしら美術を諦めたくない気持ちもずっとあった」

今回、主人公を務めた本橋さんですが、本業は演劇作家。池田さんは本橋さんの多角的に物事を見ることできる人柄が演技や役柄に通じると感じ、出演を打診しました。

(池田亮さん)
「(本橋さんは)心の中にはすごくいろいろな心情や考えていることがさまざまあって、しかもそれが自分のことじゃなくて、自分のことだけど“向こう側に他人もいる”みたいな、いろいろな人物の視点が本橋さんにある、広角レンズじゃないけど“広いところの海みたいな人”」

物語の舞台は、働く現場。演出にもリアルな「労働」を感じさせるよう、工夫が施されています。それが「脚立」を使った場所や時間軸の場面転換です。

(主人公を務める 本橋龍さん)
「(脚立に)キャスターがついていて、ゴロゴロ動かせるので、それをゲートのように位置を変えて別の場所を表現したり。3人の俳優がセリフを喋りながらずっと動かしたりカチャカチャ動かしたりしているから、やっている者としては“労働”そのものみたいな。終わった後110分間(公演時間)ガチガチに働いたなって気分で終わるみたいな」

「自分が本当にしたいこととは」、そして「働くとは何か」。舞台「養生」の高知公演は12月12日と13日、県民文化ホールで行われます。

(主人公を務める 本橋龍さん)
「(高知の人たちと)僕らは“グルーヴ”(雰囲気)が合うと勝手に感じていて、そういう意味では作品を楽しんでいただけると思うし、よかったらぜひ見に来ていただいて、よかったらハイタッチしたいなと。よろしくお願いします」

(脚本・演出・美術を手がけた 池田亮さん)
「すごく共感してもらえると同時に、見てくれたそれぞれの皆さんの中にも他の人とは違う発見がさまざまあるのではないかと思う。ぜひ多くの人に見ていただきたい思います。ぜひ劇場にお越しください、心よりお待ちしております」

チケットは販売が始まっていて、ローソンチケットで購入できるということです。