12日に開幕を迎える夏の高校野球青森県大会です。今年は連合を含め48チームが甲子園をかけた熱い戦いを繰り広げます。八戸高専野球部を指揮するのは高専5年生の学生監督。3年生のナインとともに「最後の夏」に挑みます。

夏の県大会まで残り1週間。グラウンドに響く八戸高専の選手たちの声も熱気を帯びています。

※八戸高専 田村虎太郎 主将
「今までやってきたことを全力で100%出せる夏にしたい。僕たちだけではなく先輩たちの思いもあるのでそこは存分に発揮して夏暴れたい」

3年生ナインの最後の夏は2人の指導者にとっても高校野球で最後の舞台です。八戸高専は5年生の木村優大さんが監督、同級生の梨子宙洋さんがコーチ務めています。

木村優大監督(写真左)と梨子宙洋コーチ(写真右)は八戸高専5年生

※八戸高専 木村優大監督
「中学時代の友達からは驚かれたことはあった。監督といっても先輩と後輩みたいな関係なので選手とのコミュニケーションもとりやすい。采配とかゲームプランも話しやすい」

練習が始まる前、2人は黙々と英語の勉強に励んでいました。

※八戸高専 木村優大 監督
「(Q勉強は大変?)4年生、5年生になって研究が増えて大変です」

練習前に勉強する2人

研究や試験に加え、最終学年となり、大学への編入試験に向けた受験勉強にも追われる日々。それでもグラウンドに立ち続けたい理由があります。

※木村優大 監督
「3年生の最後は不完全燃焼という形でそのまま引退してしまったので、まだやり残したという気持ちがすごく強くて、まだ野球を続けたかったので、学生監督という形でまた野球をさせていただいております」

※梨子宙洋コーチ
「野球ができることは当たり前ではない。しっかりと感謝しながら時間がないのでこの期間しっかり集中してがんばりましょう」

指導者2人の高校野球はコロナ禍に見舞われました。3年間、夏の県大会で1度も勝つことができなかったばかりか練習すらできない時期もありました。

※木村優大 監督
「僕としてはとにかく野球を楽しむ。その気持ちだけです。練習試合や練習、大会も全てにおいて負けていても勝っていてもとにかく楽しむのがモットー」

キャリアは浅いものの、どのチームと比べても選手に近い存在として、野球部を率いています。

2人の選手時代はコロナ禍に見舞われた

※木村監督
「(Q後輩からは何て呼ばれる?)きむゆうさんって呼ばれます。(Q監督とよばれることは?)ないですね」
※梨子「(Q後輩からは何て呼ばれる?)僕は梨子さんです」

夏の大会が終わると2人はチームを離れます。選手たちは3年間の感謝の気持ちを胸にグラウンドに立ちます。

※田村虎太郎 主将
「先輩たちは1回戦で負けてしまったので、その先輩たちの分も夏がんばろうという思いで今やっています」

選手、そして指導者として袖を通したユニホームともこの夏でお別れです。

バッピをする梨子コーチ

※八戸高専 木村優大 監督
「私自身3年生のときは思うように練習ができなくてそのまま悔しい形で引退してしまった。今の後輩たちはしっかり悔いのないようにとにかく楽しんで笑顔で終われればいいなと思っている」

ノックをする木村監督

“5年間の高校野球”の最終章をナインとともに笑顔で締めくくります。

監督として、コーチとして最後の夏を迎える2人

八戸高専は大会2日目の13日に地元の八戸長根球場で青森高校と対戦します。夏の大会での目標はベスト8です。