裁判のポイントは「職務権限」の有無

藤森祥平キャスター:
まずは、事件の構図です。東京オリンピック・パラリンピックの大会組織委員会の会長だったのが、森喜朗氏でした。そして、組織委員会の理事を務めたのが高橋治之被告です。

高橋被告は、大会スポンサーなど5社から総額で約2億円の賄賂を受け取ったとして起訴され、2023年12月、起訴から1年以上経って裁判が始まりました。

高橋被告は、「あくまでもオリンピックのためだった」ということで、スポンサー企業からのお金は「適正な報酬」と一貫して主張。つまり賄賂ではない、罪ではないと言っています。

小川彩佳キャスター:
そうした中で高橋被告は今回私たちのインタビューに応じたわけですけれども、なぜ今回インタビューに応じたのでしょうか。

取材担当 TBS社会部 佐藤浩太郎記者:
高橋被告の裁判は、まだ始まったばかりなんですけれども、いくつか高橋被告にとって不利な事情が明らかになっています。

今回の裁判のポイントは、高橋被告に職務権限があったかどうかということです。この権限があるかどうかで、賄賂に当たるかどうかが決まります。

森元会長は、高橋被告に「スポンサー集めなどマーケティングを担当してもらうことにした」と言っています。つまり、高橋被告に権限があったということになります。

また、カネを送ったスポンサー企業側の裁判では、既に賄賂が認定されています。

高橋被告としては、組織委員会で、マーケティングに関する事柄を決定する権限は自分にはなく、森元会長に一任していたという自分の主張を訴えたかったものとみられます。

小川キャスター:
そうなると、森元会長とは主張が真っ向から食い違っている、全面対決ということになるわけですか。

佐藤記者:
2人の主張がすれ違っているのは事実です。ただ一方で、高橋被告は、森元会長が勘違いで間違ったことを言っているとも話しています。むしろ、森元会長への聴取を行った検察に不満を持っているようです。