芸能人などの濫用でたびたび世間を騒がせる覚せい剤。発明されたのは、ほかならぬこの日本でした。1951年に国は覚せい剤取締法を制定、しかし、その後、覚せい剤は海外で密造され、暴力団の資金源などになっていくのです。(アーカイブマネジメント部 疋田 智)

日本生まれの覚せい剤

覚せい剤の成分が発見されたのは明治時代。ルーマニア人化学者ラザル・エデレアーヌと、日本人薬学者長井長義が、有機化合物“アンフェタミン”と“メタンフェタミン”の人工的な合成に成功したのが始まりです。

人口合成法の発明者・長井長義博士はドイツ帰りの東京帝国大学教授でした。

これを飲むと疲れがとれる、爽快感が得られる、と、当初はあたかも嗜好品のような捉え方をされ、製薬各社がこぞって作りました。その中でもっともメジャーな商品名が「ヒロポン」でした。

戦前戦中は錠剤で飲むタイプが主流でした。(*元厚労省麻薬取締官・高濱良次氏より借用した撮影用空き瓶)