敗戦後の乱用者蔓延

そして敗戦。
戦後の日本ではヒロポンが軍の備蓄品から大量放出され、闇市などで出回りました。一時は「チュウ(焼酎)一杯よりもポン(ヒロポン)の方が安い」という時代もあったということです。

市場といっても「闇市」です。戦後はその闇市が非常に身近なところにありました。

しかし、ヒロポンすなわち覚せい剤には、恐ろしい副作用がありました。
強烈な依存性は言うまでもありません。薬が抜けた後の異常な倦怠感、幻覚や幻聴が聞こえ、錯乱状態になり、骨や歯がもろくなり、自傷他傷行為に出る者が頻発しました。

錠剤よりも効き目の強い注射が当たり前になっていきました。

いわゆる「ポン中」(覚せい剤依存症患者)は、200万人にもなり、戦後の殺伐とした世情をより殺伐とさせたといいます。