「入ってすぐ言われたのが『普通の方と0が2つ違う』」

 大丸松坂屋百貨店の「お得意様ゴールドカード」。購入歴や年収などの条件を総合的に満たす選ばれた人が外商サービスを利用できます。百貨店業界はオンラインショッピングの台頭もあって先細りが課題です。そんな中、富裕層中心のお得意様に対する特別なおもてなし『外商』には改めて重きが置かれているそうです。
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 外商員が働くフロアにお邪魔すると「知識・信頼・人間関係」が武器のベテランぞろいの職場でした。
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 ダントツで若い久場さんには“新たな風を吹かせてほしい”と期待が寄せられています。商売の仕方も、個人の経験論だけではなく顧客の購入履歴などのデータを分析し、客観的な視点で商談計画を立てています。

 (大丸心斎橋店・外商員 久場璃輝さん)
 「入ってすぐ言われたのが『普通の方と0が2つ違うよ』と。『僕らが1万円使う感覚でお客様は100万円使う』と。金額の大きさには驚きましたね。でもかねてからやりたい仕事だったので、周りに助けてもらいながら頑張ろうと思って」

商品の提案だけではなく「アフターケア」も

 3年目の若手・久場さんの武器はフットワークの軽さです。取材した日は車で顧客の自宅へ向かいました。

 (久場さん)「こんにちは。大丸外商の久場でございます」
   (顧客)「どうぞ~」
 (久場さん)「失礼いたします」
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 ただ商品の提案に来た…というわけではないようです。

   (顧客)「これと居間の分なんですけれども」
 (久場さん)「はい、かしこまりました。お預かりさせていただきます」
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 以前、大丸で購入してもらった2枚のペルシャ絨毯を回収。専用のクリーニングに出すのです。
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 アフターケアも外商の大切な仕事。祖父の代から外商を使っているというこちらの顧客は、久場さんの誠実さを信頼しているようです。

   (顧客)「頑張ってくれているよ。良くしてもらっていると思います。わからないことはちゃんと聞いてくれるので。『これは何でしょう』ってね」
 (久場さん)「わからないことだらけですけれどね。本当にまだまだ…」
   (顧客)「なんか付き合えば付き合うほどかわいらしい人ですし、孫的な感覚ですね」