犯行直前 逡巡した13分間「自分みたいな悪党でも小さな良心が」
そして京都へと降り立った青葉被告。訪れたのは事件の3日前(2019年7月15日)だった。計画を練り上げるためだったという。
現場を下見して犯行道具を購入。道を尋ねたり店員に話しかけたりするのは最小限に抑えた。「証拠を残したくない」という理由だった。ガソリンを購入した際は「発電機に使うため」と嘘もついた。
ところが犯行直前、スタジオの前に着いた青葉被告は、その場に座り込んだという。
(青葉被告)「ためらった。自分みたいな悪党でも小さな良心があった。ただこの10年間、働いて、やめさせられて、刑務所に入れられ、小説を送ったら叩き落されてパクリもあった。やはり、ここまできたら、やろうと」
逡巡した13分間。引き返す時間は十分あったはずだった。こうしたことから検察は「たしかに妄想はあったものの、犯行を思いとどまる力や善悪を区別する力を凌駕するものでは到底ない」と切り捨てた。
去年12月、検察は論告で「日本の刑事裁判史上、突出して被害者数も多い」などと指摘。死刑を求刑した。一方の弁護側は「青葉被告は妄想の世界で生きていた」として、心神喪失で無罪、または刑の減軽を求めた。
注目の判決は1月25日午前10時半から言い渡される。