デビューからわずか半年で戦争に ウクライナに舞い戻った20歳のダンサー
ロシアの軍事侵攻が始まった直後、120人のバレエ団員のうち90人が国外へ避難した。その後、少しずつ団員たちがウクライナに戻り、今は110人がウクライナ国立バレエで活動している。

9月に20歳の誕生日を迎えたばかりのカテリーナ・ミクルーハさんもその1人。2021年9月、ソリストとしてウクライナ国立バレエの一員になったカテリーナさんだったが、デビューから半年後、ウクライナが戦火に襲われた。
カテリーナさんはオランダ・アムステルダムに避難し、そこでバレエを続けた。2023年6月にウクライナへ帰国。両親はポーランドにいるため、キーウで一人暮らしをしている。

ソリスト カテリーナ・ミクルーハさん(20)
「戦争は私のバレエ人生を完全に変えました。生活もすべて様変わりしました。どう変わらなかったかという話をする方が難しいです。キーウにはより良い指導者がいますし、ここにいる方がダンサーとして成長できると思ったので帰りました。両親はまだ心配していますが、私がキーウにいる必要性を理解しています。
戦争が始まって以来、私はウクライナにいる全ての人が『今日死ぬかもしれない』ということを理解したと思います。毎日私は最善を尽くそうとしています。そしてできるだけ一生懸命に練習しようと思っています。ステージに上がるたび、感謝の気持ちが込み上がります。」
カテリーナさんは「雪の女王」で王女役を演じている。王女のような役を演じることは幼いころからの夢だったという。しかし、カテリーナさんが踊るパートにもロシア音楽が使用されていたため、新たな音楽に差し替えられ、振り付けも変更になった。
ソリスト カテリーナ・ミクルーハさん(20)
「こうせざるを得なかったのだと思います。異例のことですが、新しいことや変化、自分たちのバレエをすることを恐れることはありません。」

今回の来日公演では「ドン・キホーテ」「ジゼル」も上演される。この2作品でカテリーナさんは主役に抜擢された。3作品に出演するため、「頭がこんがらがりそうな時もあった」と冗談交じりに話しながらもカテリーナさんは日本公演についてこう話す。
ソリスト カテリーナ・ミクルーハさん(20)
「皆さんに公演を楽しんでいただけるよう、できる限りを尽くして踊ります。ひとつひとつのステップで、私の役を表現したいと思います。一つ一つの小さな、腕、頭、脚の動かし方まで。すべての側面で、私の役を表現したいと思います。役を表現することは私にとってより重要になってきています。それが観る人の心を動かすと思うからです。」