2021年2月に始まったロシアの軍事侵攻から間もなく2年が経過しようとしている。ウクライナではロシア人作曲家・チャイコフスキーなどロシア音楽の使用を中止するなど、文化や芸術の世界にも戦争の影響が及んでいる状況だ。
(関連:ウクライナ文化相「これは虐殺だ」戦争が破壊する文化 戦禍の名門・国立バレエ団が“平和”を願い舞う)
「ウクライナの芸術を後世に繋ぐ」
戦争に翻弄されながらも新たな挑戦に挑む「ウクライナ国立バレエ(旧キエフ・バレエ)」の姿を追う。
12月下旬、150年以上の歴史を持つウクライナ国立歌劇場のバレエ団やオーケストラなどが来日し、各地で公演を行っている。終わりが見えないロシアとの戦いが続く中、首都キーウから約130人がやってきた。日本までは40時間以上の道のりだったという。

「バレエ団は新しい世界、新しい時代に進んだ」
そう話したのは現在、ウクライナ国立バレエのトップを務める芸術監督の寺田宜弘さんだ。「戦争」に直面するという未曾有の混乱の中で寺田さんがウクライナの国立バレエ団を託されたのは約1年前のことだった。
芸術監督に就任して以来、寺田さんが取り組んだのは「新しいウクライナの芸術」をつくること。その1つが日本で初めて上演される「雪の女王」という作品だ。