九州から北海道、そして海外へ
林さんは福岡県出身。父親が海上保安官だったため、幼少期より山口県宇部市、長崎県対馬市、北九州市と海のそばで暮らしてきた。「引っ越しは多かったですね。移動や移住を楽しめる素地はあったかも」と話すとおり、中学高校を長崎で過ごした後、北海道大学に進学。「北海道っぽいことをしたい」と、カヌー部に入った。
夏はカヌー、冬はスノーボードと北海道の大自然を楽しんでいるうちに冒険心はふくらみ、一年間休学して海外旅行を敢行。アフリカでの川下りやパタゴニアでのトレッキングなど世界を体験して回った。

卒業を控えたある時、企業の奨学金給付留学制度を見つける。留学先にはバックパック一人旅で初めて訪れたタイを選び、留学した。「東日本大震災もあり、バタバタと留学準備をした記憶です。内定込みの留学でしたので、帰国後はどっぷりビジネスの世界に浸かりました」。
林さんの勤め先は、国内外に家具や生活用品の生産・販売拠点網を持つ大企業。「あらゆる部署で仕事をしました。販売フロアから配達、生産現場まで。全国でも指折りの大型店でクレーム処理を担当したこともあります」。やがて海外事業部に移り、ベトナムやマレーシアで、制度設計や通訳などのバックオフィス全般を担っていく。
そんな順風満帆な生活を送っていた中、30歳を機に、林さんはこれからの人生について考えた。このまま海外コースに乗って、転々とするのか?それとも一か所に腰を据えて、地元の仲間たちと一緒に面白いことをしていくのか。祖母の最期に立ち会えなかったさびしさ。家族や近しい人たちとのつながりを大切にしたい。
林さんは6年半の会社員生活に別れを告げ、新たな道を模索すると決めた。会社員時代を振り返り「今では真逆のことをしていますよね、大量生産・大量消費の反動はあったかもしれません(笑)」。
