酒屋さんのご主人「まさか、人様の墓石の文字を書くなんて・・・ 」

デザイン筆文字シリーズ第1号「鯨海酔候」の制作者、酒屋さんのご主人こと、井上稔也さんは酒店をオープンした1989年から我流で書を始めたという。フォント化の話がきた当時のことを語ってくれた。
味の蔵「井乃屋」井上稔也さん
「私の文字がフォントになるなんて、ありがたいと思いお引き受けしました。フォントが完成したあとは、あちこちで『鯨海酔候』を見かけるようになり、なんだか私の文字だけが一人歩きしているような不思議な気持ちでしたね」

ーー周りの評判はどうでした?
「私のところに家の表札や、なんと墓石の文字を書いてくれないかという人が訪れるようになりました。それが生業ではないので、お気持ちとして書かせてもらいましたが、そんな経験も「鯨海酔候」のおかげですね」

ーーすごいですねー。人生が変わりましたね
「『鯨海酔候』の生みの親ということが、ひとつの信用となったことは間違いはないです。おかげさまで、手書きオリジナルラベル『字酒』の注文も多くいただけるようになりました。
フォント化の作業は、それはそれはすごい数を書いて、部屋中が紙でいっぱいになりました。今となっては良い思い出です。丸岡さんには感謝しています」
書き手には、いろんな意味で想像以上の影響があったようだ。