「謝罪も反省も求めません。それで償える犯行ではない」

「謝罪も反省も求めません。それで償える犯行ではない」入社2年目で犠牲となった女性社員の父親は意見陳述で、自ら書面を読み上げました。

 被告人一人に罪を負わせることの考えについて述べます。(被告に)ポジティブな側面があったことに、逆説的ではありますが安堵を感じました。柔道することを許可してもらっていたことや、柔道ができるほど食事ができ、体力もあったのだろうと思います。私は仕事の関係で虐待を真に当たりにすることもあります。被告人の生育環境は、罪を問うにも絶句する環境ではありませんでした。

 弁護人から、「死刑制度を前提に考えなくてはならない」と冒頭陳述でありました。結論から言うと、今回の裁判と死刑制度を一緒に議論することは適切ではありません。議論は別の場所で行っていただきたいです。

 娘が巻き込まれたことについて話します。娘が仕事に手ごたえを感じていた時に人生を閉ざされたことは、どんなに無念だったかと思います。自分の足で歩み出した娘、親から巣立っていく娘をそっと見守り応援していました。

 被告への処罰感情については、「なんてことをしてくれたのか」という気持ちです。亡くなった方や、被害者の方のことを考えたとき、被告には命をもって罪を償ってほしい。被告には謝罪も反省も求めません。それで償える犯行ではないからです。