「自慢の娘でした。娘を返して!と叫びたい」

「本当に自慢の娘でした。娘を返して!と、叫びたい」30歳で犠牲になった栗木亜美さんの母親は、強い口調で意見陳述をはじめました。
この事件の一番の原因は被告人本人です。責任能力って何ですか?どんな理由があろうと、殺人が許されてよいわけありません。私は、事件から娘が亡くなったとわかるまでの1週間、記憶がありません。娘に会えた日のことは、鮮明に覚えています。棺に横たわっていたのは、確かに娘でした。
「怖かったね」「苦しかったね」とたくさん言葉をかけました。代わってあげられなかった悔しさで「ごめんね」「ごめんね」と繰り返しました。いつものように仕事に行き、黒い煙にまかれ、なにもわからず意識を失い、そのまま逝った娘。本当に無念だったと思います。

内定したときの喜びの笑顔、画力が足りているかと悩みながら努力する姿はいまだに目に焼きついています。本当に自慢の娘でした。「娘を返して!」と、叫びたい気持ちでいっぱいです。事件一年ほどは、娘が亡くなったことしか考えられませんでしたが、時間が経つにつれ、被告人への憎しみや恨みが深まってきました。
ここにいる皆さんは、もし大切な自分の家族の命を人の手によって奪われたら、許せますか。こんな大きな犯罪を犯したのに、被告人に心からの謝罪や反省を求めることは不可能だったと、公判を通して思いました。ならばせめて、この恐怖と絶望と悲しみを、被告人にも味わってほしいと思います。この想いを強く、極刑を望みます。
この日、さらに意見陳述は続いた。あわせて26人の犠牲社員・被害者の遺族や代理人らが法廷で直接、または書面で述べることになっている。