事故多発が問題に

しかし、お手軽に乗れる原付バイクでしたが、一方、その性能はお手軽ではありませんでした。交通ルールも徹底されず70年代後半から数々の交通事故が問題となりはじめました。

スクーター自身の無謀運転と同時に、ドライバーの危険運転も問題になりました。

警察は「女性向けのミニバイク安全講座」のようなものをたびたび開きましたが、目に見える効果がなかなかあげられません。

度重なる事故を重く見た行政は、原付一種(ミニバイク)のヘルメット装着を努力義務としました。これが78年のこと。自動二輪(オートバイ)は当時から完全義務だったのですが、原付は努力義務。「まあ罰則はよかろう」としたのです。

表情から「ヘルメットなんてちょっとねぇ」という声が聞こえてきそうです。

ところが、当時の女性たちは誰もヘルメットをかぶりませんでした。なぜならヘルメットは髪型を崩すから。しかもヘルメット姿はオシャレに見えません。

「手軽にヘルメットなしで乗れたし、足を揃えてスカートでもOK。それがスクーターのいいところじゃないのよ」というのが、当時の女性たちの言い分でした。

ヘルメットが努力義務であるにも関わらず、ヘルメットなしでブームは隆盛を極めます。