1986年にヘルメット完全義務化
このブームが一気に冷えたのが「86年ショック」でした。
1986年の7月5日、原付バイクのヘルメットが完全義務化されたのです。罰則もあります。警察は一斉取締りのキャンペーンを行い、ヘルメットなしの二輪車が一掃されました。

すぐに女性たちは原付を忌避し始めました。
スクーターの売り上げも目に見えて減っていきます。
ここに危機感を憶えたヤマハ発動機は、急遽、「ヘルメットなしでも気軽に乗れる楽な二輪車」の可能性を探り始めます。
電動アシスト自転車が生まれた理由
それが「電動アシスト自転車」なのです。
電動アシスト自転車は、「ペダルを踏む、その踏力に応じてアシスト力がかかるというもの。電動モーターはあくまでアシストに過ぎず、これは自転車(だからヘルメットは不要(当時))」というのが要諦で、原付ヘルメット義務化の翌年(87 年)から、関係業界と警察庁などの交渉が開始されたといいます。
そして93 年、世界初の電動アシスト自転車「PAS」が、ヤマハ発動機からリリースされました。

もちろんヘルメット以外の利点は多々あります。向かい風に強く、坂道も楽々、おまけに排出ガスが出ないし「省エネ」です。
「PAS」をはじめとする電動アシスト自転車は、その後世界的な大ヒットを記録し、欧州型の“e-bike”なども含め、一時代を築くことになります。
最初に開発したメーカーが、スクーター大手のヤマハ発動機。これは偶然ではないのです。