渋谷から世界を目指す企業を支援するシブヤスタートアップスの渡部志保社長の2030年に向けた新たな視点、生き方のヒントを聞く。【前編・後編の後編】

自分の“絶対音感”を大切に。自分と周りにとってのベストが自分の基準

――もう一つのテーマは何番でしょうか?

渡部志保氏:
8番の「働きがいも経済成長も」です。

――実現に向けた提言をお願いします。

渡部志保氏:
「自分にとっての選択の基準を持つ」です。

――仕事を選ぶときにどういうことを考えて選んでいくのですか。

渡部志保氏:
これがやりたいとか、あれがやりたいということよりは、人で選んでいる気がします。面接で会った人とか、その人との会話の中で得たものとか、直感的にこの人と働きたいとか、こういう文化の中で自分を磨いてみたいという場所にチャンスがあるたびに飛び込んでいった結果なのかなと思います。自分の120%がそのときそうだったという点繋ぎだと思うので、絶対音感じゃないですけど、絶対こういう場所がいいんじゃないかと120%その都度大事にしてきたという集大成なので、そのときの120%をうまく人生に繋げていくというマラソンなんじゃないかなと思っています。

海外への留学や外資系企業への就職など、グローバルな環境で過ごしてきた渡部氏。

最も影響を受けたのが、Googleで働いた経験だという。

――Googleでの仕事のどんなことに影響を受けたのですか。

渡部志保氏:

やっぱり人、文化というのが大きいなと思って。もちろん素晴らしい会社で、すごいものを作っている天才集団みたいなイメージがあったのですが、周りから見ると変わっているなというような尖ったところを尊重する、かつ応援する文化もあって、心地良かったというか。結構自分が異質だと感じてきて、周りからも考え方が変わっているよねとか言われることも多かったので、反対にGoogleに来てみると、変わった人が多くて私が圧倒されるみたいな、すごく心地良い場所として個性を生かせる場所なのかなと思いました。

――自分の基準を持つという話をされました。自分の基準はどんなふうに出来上がっていくものですか。

渡部志保氏:

自分を知ることから始まると思います。自分のことをよく知って、自分との付き合い方を理解して、自分にとって周りにとって、どういうことがベストなのかというのが自分の基準だと思います。あとは自分が得意なこととか、仕事とか特にですが、自分の絶対音感を大事にするとか。

――落ち込んだり嫌になったりしないのですか。

渡部志保氏:

あります。もういろんなことを諦めてきた人生ですけど、みんなもそうじゃないですか。続かないことは続ける意味がないよねという諦めの良さみたいなのはあると思いますし、自分の中で変わらないいいところにフィットする場所はどこかにあるんじゃないかなと思ってきたという感じです。

――世間の評価よりも、自分が一番居心地のいい場所を探す旅を続けているということになるのでしょうか。

渡部志保氏:

キャリアにおいてはどうやって唯一無二の存在になれるかというのは大事だなと思っています。自分でしかできないこととか、自分でしかできないような見方ということで、会話の角度をすごく変えることができたり、いい方向にできたりとか、そういうものは自分らしく生きて行った先にあると思うので、それを諦めずにやっていくということなのかなと思います。